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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

刺身にするならしめてすぐじゃなくて、少し寝かせて旨味を蓄積させてから

食材の話 食材の話-魚の話

Sashimi extravaganza! 💕

しめたての魚には旨味が不足している

新鮮な魚が入ったら、まず刺身で食べたいと思う人は多いはず。しかし、必ずしも釣ったばかりの魚が一番美味しいとは限らないのです。さばいたばかりで、まだエラが動いているような活け造りは、いかにも新鮮で美味しそうですが、しめてすぐの魚の身は実は旨味成分が多くありません。

魚は生きているときは、酵素が筋肉に供給されますが、死ぬと供給が止まるため、死後硬直が起こり、身が固くなります。活け造りは、このコリコリとした歯ごたえを楽しみたい人にはもってこいの料理です。しかし、この状態で食べてしまうと旨味が足らずもったいないと思うこともあります。

旨味成分が出てくるのは死後硬直が一定時間過ぎて硬直が解けてからです。魚自身が持つ酵素でタンパク質が分解されて自己消化が始まることによって生成されるアデノシン三リン酸(ATP)から旨味成分の一つであるイノシン酸(IMP)が作られます。

活け造りは、イノシン酸が十分に生成されていない状態で食べてしまうので、魚肉の歯ごたえは楽しめても、旨味が熟成されていません。

魚の旨味をしっかりと味わうためには、しめた魚を食べごろになるまで寝かせることです。歯ごたえを回復させるために、魚を寝かせた後、そぎ切りにして氷水に入れ、身をきゅっとさせた「あらい」をすることです。

魚を寝かせ過ぎたら当然腐りやすくて、食中毒のリスクもありますからね。

しかし、魚を寝かせ過ぎて時間が経ちすぎると、組織が軟化してしまい、当然、腐りやすくなるので注意。

また、魚の種類により、必要な寝かせ時間大きく変わってきます。甲殻類やサバなどの背青魚は軟化が早いので、すぐ食べるのが良いとされますが、ハマチはしめてから8時間後がイノシン酸の蓄積量が最も最大になるそうです。

生で食べる刺身は、食中毒に注意が必要。なかでも腸炎ビブリオは、増殖スピードが速く、夏場に猛威を振るうことの多い食中毒菌です。

これを防ぐためには、第一に温度管理。腸炎ビブリオは4℃以下では増殖しないので、冷蔵庫の0℃~4℃のチルド質で保管するようにします。魚を切るときに使ったまな板や包丁から菌が広がることもあるので、調理後は洗剤を使ってしっかりと洗い、熱消毒を、調理の前後は石鹸を使った手洗いも忘れずに。

また、寄生虫のアニサキスによる食中毒も増えています。内臓に多く寄生するので、早めに内臓は取り除き、筋肉部分にも潜んでないか、切り分けるときによくに見ましょう。体長さ1cmもあるので細切りやたたきが有効。よく噛むことでも防ぐことができます。