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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

食材が加熱されるとどんな化学反応が起こるのか

調理法の話 調理法の話-焼く話

ステーキ

料理に火を入れることは食材に化学反応を起こさせること

洞窟に住んでいた私たち人間の先祖が最初にキャンプファイアで獲物を焼き始めたときから、人類は食物の全く新しい味わいを楽しんできました。料理とは、材料に熱を加えて食材を変質させることで、風味を増したり、ときには食中毒の発生を防止したり、あるいは栄養価を高めるような科学的あるいは物理的な反応を起こすことです。

料理の観点からいうと、最も興味深くまた美味しさを生み出す変化は、食品中の化合物が下記の化学反応を起こすことによってもたらされます。

タンパク質の編成

タンパク質の「未変性の形態」とは、そのたんぱく質が正常に機能するために必要とされる3次元の形状(立体配座)のことです。この構造が(通常は熱または酸によって)破壊されることを、タンパク質の「変性」と言いうます。タンパク質の変化はその味や食感に大きく影響します。

タンパク質が変性する温度は、タンパク質の種類によって違いがあります。食品中のタンパク質の大部分は49℃~70℃で変性します。例えば、卵白は、60℃を超えると変性をはじめ、変性したタンパク質は可視光を通さなくなるため白く不透明な白身になる。肉に含まれるタンパク質「ミオシン」は、おおよそ50℃で変性します。肉に含まれるもう一つのタンパク質「アクチン」は、おおよそ65℃で変性します。たいていの人は、ミオシンが変性し、アクチンが変性しない50℃~65℃の間で調理された肉が美味しく感じるようです。

メイラード反応

メイラード反応は、食欲をそそる香ばしい風味を食品に付け加える褐変反応です。通常は加熱によって、アミノ酸とある種の糖類が分解して再結合し、何百種類もの化合物を生成することによって引き起こされます。具体的にどんな副生成物が生じ、結果としてどのような香りが加わるかは、調理される食品中に存在するアミノ酸によって異なるが、例えばローストチキンのパリパリに焼けた皮の豊かな香りを想像してください。

調理に利用されるメイラード反応は、おおよそ155℃で顕著に表れることが多いですが、反応速度はpHや食品中に含まれる反応物、それに温度と時間に左右されます。肉が160℃以上の温度でローストされることが多いのは、これよりも低い温度ではメイラード反応がほとんど起こらないためです。

カラメル化

カラメル化は糖類の分解反応の結果として生じる現象で、メイラード反応と同様に、美味しそうに香る何百種類もの化合物を生成します。純粋なショ糖(グラニュー糖に含まれる糖類)は、160℃~200℃の温度範囲でカラメル化しますが、その中間の180℃~190℃の範囲でのみ豊かな風味が生じます。パンや菓子を作る際には、通常190℃で焼けばハッキリとしたキツネ色に仕上げが、175℃以下では少ししか色付きません。

化学反応が終われば出来上がり

ここで、読者はおそらく「しかし、これを知って、実際にどう料理に活かすのだろうか?」と思わせたかもしれません。

まず、調理が終わったタイミングを知ることができる。どのような反応が引き起こされて欲しいかを理解しておいて、その反応が生じたら出来上がりというわけです。

例えば、ステーキなら、温度計で内部の温度を測ればよい。60℃に達すると、ミオシンが変性を始めているからです。サクサクのチョコレートチップクッキーなら、190℃で焼いている間、目と鼻をしっかりと働かせる。クッキーがこんがりと色付いてきて、カラメル化が起こっている香りが感じられたら、焼き上がりです。

実に簡単なことです。反応が起こったらすぐに火から降ろせば、料理が出来上がりです。

五感を使って料理を楽しみたい

嗅覚、触覚、視覚、触覚、味覚の五感をすべて使って料理するほうがずっと楽しいです。

ミディアムレアのステーキに仕上げる時、ミオシンは変性してがアクチンがまだ変性していない状態の肉は、菜箸で触ってみたら身が引き締まってきて、また目に見えて縮んでくるのが分かってくるはずです。ソースを煮込んでいるときの泡立つ音は、煮詰まってくるにつれて液体が粘度を増し、それを泡が押しのけるようになるため、違って聞こえてくるはずです。メイラード反応とカラメル化の起こる温度に達したパンの皮は素晴らしい香りがするし、こんがりとした焼き色が付いてくるはずです。

ちなみにパンの皮が色づき始めるには少なくとも155℃の温度が必要で、これは赤外線温度計を使って確かめることができる。(パン用の小麦粉にはタンパク質と糖類の両方が含まれるため、パンを焼く時にはカラメル化とメイラード反応の両方が起こります。)

これらの変化がいつ、どのように生じるのかを理解すれば自信を持って「出来上がり」と言えるようになるはずです。最初に、調理に通常用いられる熱源の特徴と、熱の種類や温度の違いがどのように調理に影響するのかを見ていきます。また、調理の主目的の一つは食中毒の発生を防止することにあるので、細菌汚染や寄生虫の予防法を含めた食品安全の重要課題について述べ、合わせて食品安全の原則を実証するレシピも示します。

読者自身の好みに合わせて、いろいろな組み合わせを試してほしい。ひとつの料理の個々の部品を取り出し、別々に調理するほうが普通は簡単です。野菜を一つの鍋で、肉やタンパク質の食品を別の鍋で、デンプン系の食材は別の鍋で、といった具合です。このようにすれば、各部品の変数を独立に動かすことができます。そして、最後にすべてを組み合わせればよいです。ナスのパルメザン焼きが大好きな人もいるだろうが、料理の初心者にはあまりお勧めできません。様々な反応が起こっていることを理解するには向いていないからです。


最後に、料理やパン・菓子作りと、コーディングや製品開発との間には、ひとつの共通の小売が存在します。それは、当たり前のようだが、出来上がったときが出来上がりということです。タイマーがなったら出来上がり、というわけではありません。料理の腕を上げるコツの一つは、自分自身を「調整」することです。料理の出来上がりを予測して、それから実際にチェックしてみます。その際、実際に感じたこと(特に嗅覚と視覚を使って)と、プロセスに注意することです。

大人の肉ドリル

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