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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

糖質オフダイエットは効果があるけど、筋肉の低下を避けるためにタンパク質はオフしない

食欲を促すのは血糖値だけではない

一般的に食欲は血糖値によってコントロールされていると考えられています。血糖値が下がると、空腹中枢が刺激されて空腹になり、血糖値が上がると満腹中枢が刺激されて満腹になるというのです。

このことから「糖質オフにすると血糖値が上がりにくく、満腹を感じにくいから食べ過ぎるのではないか」という疑問を持つ人もいませんか?


しかし、食欲は血糖値だけでコントロールされているわけではありません。確かに血糖値が下がるとおなかは空きますが、血糖値が上がっただけでは満腹を感じません。その背後にはホルモンの作用が隠れています。


かつては、血糖値だけで食欲を説明しようとしましたが、現在では主に消化管が分泌するホルモンと食欲の中枢である脳の視床下部の相互作用により、食欲が制限されている実態が明らかになったのです。


食欲を抑えて満腹を促すホルモンには、ペプチドYY、GLP-1、コレシストキニンなどがあります。糖質をオフにすると相対的にタンパク質や脂質の摂取が増えますが、満腹感を演出するこれらの消化管ホルモンは、タンパク質が消化管内で分解されたアミノ酸、同じく脂質が分解された脂肪酸によって分泌が促されます。


タンパク質の摂取で増えるGLP-1脂質の摂取で増えるGIPはインスリンの適度な分泌を促しますから、血糖値が上がりにくくなり、食後高血糖を抑えて肥満や生活習慣病のリスクが下げられます。


ペプチドYYやコレシストキニンは視床下部に働いて食欲を抑制します。さらに、GLP-1、GIP、コレシストキニンは、消化と吸収に時間がかかるタンパク質や脂質をじっくり処理するために、消化物の移動をスローダウンさせて満腹感を覚えやすくしてくれます。


このほか、食欲を調整する重要なホルモンにレプチンがあります。レプチンは、脂肪細胞から分泌されており、視床下部に働くと食欲を抑制します。


太って脂肪細胞が膨らむとレプチンの分泌量が増えて食欲が落ち、体重と体脂肪率を落としそうというフィードバックが働くのですが、太っている人はこのレプチンの効き目が落ちるレプチン抵抗性が起こるため、食欲が抑えられないのです。糖質オフで痩せるとレプチン抵抗性も抑えられて食欲も正常化していきます。

糖質オフしてもタンパク質はオフしない

糖質オフによるダイエットは非常に効果的ですが、その効果を確実なものにするために一つ心がけたいポイントがあります。それは筋肉の減少を防ぐ工夫です。


糖質オフでは糖新生が活発化しますが、その90%ほどを担うのは帰任句を構成するアミノ酸。糖質オフでは1食あたり20~40g、1日に120g程度の糖質を摂るので、絶食時のように糖新生で急激に筋肉が減ることはありません。


それでも、糖新生が亢進すると筋肉を作るアミノ酸がグルコースに代わり、筋肉が落ちやすい体内環境にスイッチすることは間違いないのです。


そうでなくても筋肉は20代をピークとして加齢とともに減り続けます。運動不足と30歳から50歳は年0.5%から0.7%、50歳から80歳は年1.0%~2.0%の割合でそれぞれ減ると言われていますが、行き過ぎた糖質オフは筋肉の減少に拍車をかける恐れがあるのです。


糖質オフで痩せようとしても、筋肉が減少すると逆に太りやすくなります。


1日に使う消費カロリーのおよそ60%を占めるのは基礎代謝量。じっと横になっているときでも使われている基礎的なエネルギー代謝ですが、筋肉はこの基礎代謝量の約20%を占めています。

ゆえに加齢や過度な糖質オフで筋肉が減っていくと基礎代謝量と消費カロリーが落ちてしまい、エネルギー収支が黒字に傾きやすくなり、痩せにくくなるのです。

筋肉の減少を避けるために大事なのは1食20~40gという糖質摂取量の基準を守ることです。日本人は真面目なので、カロリーでも糖質でもストイックに制限すればするほど減量効果があると考えがちですが、最低限の糖質を摂ったほうが筋肉の減少を抑えてむしろ減量効果は高くなるのです。


次に肝心なのは、糖質をオフしてもタンパク質は減らさないこと。筋肉は水分を除くとほとんどタンパク質ですから、肉類、魚介類、卵、大豆、大豆食品、牛乳、乳製品といったタンパク質から、きちんとタンパク質を摂るようにしてください。


このうち牛乳は乳糖という糖質が多いので、一度に大量に摂ることは避けるべき、大豆以外の豆類も糖質が多いので要注意です。


タンパク質の摂り過ぎは腎臓にストレスになって危険という説もありますが、否定的な意見もあります。糖質をオフする代わりに良質のタンパク質を摂りましょう。