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漬物と塩サケは長期保存の生きた知恵

Gravlax

塩サケや漬物の塩漬けは長期保存のため

漬けものに塩を入れるのは、味付けはもちろんですが、保存の目的もあります。塩が野菜の水分を引き出すため、細胞内の水分がなくなり、微生物が発育しにくい環境になるからです。

鮭に塩をした塩サケも同様です。昔は、新巻サケは保存がきくので、お歳暮として贈られたりしましがた、最近では、それほど塩辛いものはあまり売られていません。よほど塩辛いサケでない限り、生魚と同じように冷蔵保存がいいのです。


保存が可能なのは水分がなくなることだけが理由ではありません。食塩の濃度ももちろん保存期間と密接に関係します。つまり、食塩濃度を高くして、低温に保てば、悪変を防ぎ安定した漬物ができ、長期保存も可能になるというわけです。


一夜漬けや即席漬けの漬物の場合、食塩濃度は3~5%を目安にしたいのです。これは、腐敗菌の繁殖は阻止できますが、乳酸菌などは繁殖しやすくなる濃度です。

糠味噌漬けなど、短期間の保存を考えた漬物では、食塩濃度は5~8%とすべきです。


ちなみに奈良漬けは食塩濃度4.3%となっています。大根の味噌漬けのそれは、11.1%。さらにもっと長期保存用の漬物になると、食塩濃度は15%~20%に達します。20%を超えると、乳酸菌など有用微生物を含め、すべての微生物は活動できなくなります。

そのまま食べるもので、このレベルの食塩濃度にあるのは梅干しで、塩分が多い梅干しでは22.1%のものです。

では、奈良漬けなどの発酵による風味を持つ漬物の場合は、菌が発育しないのに、どうやって発酵させているのでしょうか。

これは、潮に強いタイプの乳酸菌や酵母などを使い、それらが活動できる範囲の演武で、濃度の即で発育させます。この発酵作用により独特の風味を生じるのです。

漬物の石の重さが発酵を調節することができる

漬物に付き物の漬物の石。つまり重石のことですが、これにも、発酵を調節する働きがあります。重みで圧迫することによって、漬けあがりが早まり、野菜の水分の除去が早められ、微生物の発育を抑えたりします。あるいは、押し出された漬け汁が材料を覆うことで、漬けたものが空気と接触するのを防ぎ、変色を防止する役割も果たすのです。


だから、漬物の石運びが重要になってきます。重石が重すぎると、圧力が強すぎ、漬け汁の浸透が悪くなり、発酵や熟成を遅らせ、漬物の歯切れを悪くします。漬物の石の重さの目安は、ふつう材料の重量の1~2倍くらいです。

糠床は毎日かき混ぜることで臭気を和らげること

糠床を放置すると臭気を発しますが、その原因は、嫌気性の発酵菌が繁殖するためです。夏場はとくに臭気が著しくなります。これを防ぐためには、毎日1回以上糠床をかき混ぜ、空気を入れてやる必要があります。