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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

糖分を利用して黒豆をふっくらと煮る

調理法の話 調理法の話-煮る話 食材の話 食材の話-野菜の話

http://www.flickr.com/photos/78121670@N06/8358207282
photo by Malicamera

黒豆をふっくら煮ることは意外と難しい

ふっくらツヤツヤとした黒豆を煮るつもりが、縮んだシワが寄ってしまった・・・なんてこと。ありませんか。


煮豆に使う砂糖はかなりの分量。これを一度に加えて煮ようとすると、豆の内側と外側で極端に糖分濃度が違ってしまいます。すると調味液の糖分は、豆の内側にある水分を抜いて濃度を同じにしようと働きます。


このため、豆は砂糖が染み込むより先に一気に水分を抜かれることに、それにより、内部は縮んで小さくなりますが、皮はそこまで収縮しないため、表面にシワが寄ってしまうのです。


シワを防ぐためには、豆の内側と外側の糖分濃度に大きな差が出ないよう、砂糖を何回かに分けて加えること。こうすれば、急速な脱水が起こることなく、ふっくらと煮上がります。

黒豆の内と外の糖分濃度の差を減らす

温度が高いほど濃度を合わせようとする働きは大きくなるので、柔らかく下茹でした豆を冷まし、分量の砂糖の何分の1かを加えて再び火をつけ、しばらく煮てまた冷まして砂糖を加える・・・という作業を繰り返すのが昔から伝わる方法。


しかし、これではとても時間と手間がかかります。最近では、砂糖を溶かした熱い調味液に、乾燥したままの豆を付けて一晩おいてから煮る、という方法も一般的になってきました。


これも濃度差を作らないためで、豆がゆっくり水分を吸っていくのに合わせて砂糖が徐々に染み込むため、加熱するときには豆の内と外で糖分濃度に差がなくなり、シワが寄らいないというわけです。

黒豆を煮るときには錆びた釘と一緒に煮る

黒豆を煮るときは、錆びた釘を一緒に入れるとよいとされています。これは、ツヤのある真っ黒い色に仕上げるため、黒豆の皮はアントシアニン系の色素を含み、金属イオンと結びつくと、水に溶けない色素に変化して色落ちしにくく鮮やかになるのです。


ピカピカの新しい釘では鉄分が水に溶けにくいので、あえて錆びた釘を使用。新しいものしかない場合は、酢やレモン汁をかけて外に出しておくと、すぐに錆びつきます。


また、調理に使う専用の鉄製品も販売されていますし、鉄製の鍋で煮ても同様の効果が得られます。


おせち料理にも欠かせない黒豆は、もともと「まめまめしく、シワができるまで長生きする」という意味がありました。シワのない、ふっくらツヤツヤの黒豆が正式ということではなく、あえてシワが寄るように煮る地域もあるようです。