Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

土鍋でご飯を食べたらなぜ美味しくなる?土鍋を使うコツ。

http://www.flickr.com/photos/31874779@N00/7933331716
photo by jonpurdy

保温性の高い土鍋でお米を炊くとデンプンの糊化を助け、美味しくする

美味しいご飯とは、科学的にみると、米に含まれるデンプンが水とともに加熱されて分子がバラけ、十分に糊化した状態、これが、ふっくらもちもちとした炊きあがりにつながるのです。


そのために、昔から伝わるのが、「始めちょろちょろなかぱっぱ、ぶつぶついったら火をひいて、赤子泣いても蓋とるな」という言葉。


鉄の羽釜と釜戸でご飯を炊いていた時代の火加減の極意です。「始めちょろちょろ」とは、沸騰するまでの最初10分ほどは弱火でということ。強火で加熱してしまうと、米粒の表面のデンプンだけが糊化して障壁となり、熱や水が中まで通りにくく、芯のあるご飯になってしまいます。

沸騰までゆっくり時間をかけると、40℃~50℃ぐらいで一番活発になると、甘味や旨味の成分をつくるアミラーゼという酵素を長く働かせることができます。


「なかぱっぱ」は沸騰後、炊きこぼれない程度の強めの火力にすることで、デンプンの構造をさらに緩めていきます。しっかり糊化するには、98℃以上で20分以上の加熱が必要とされ、「ぶつぶついったら火をひいて」とは、水分がなくなってきても焦がさないよう火を弱めて加熱を続けること。


最後の「赤子泣いても蓋取るな」は、火を止めて蒸らす間に蓋を取ると、蒸気が逃げて中の温度や湿度が均一に保たれなくなるのであけてはいけない、ということをさしています。


この釜戸炊きの美味しさを簡単に短時間でうまく再現できるのが、土鍋を使った炊飯。土鍋は熱伝導性が低く、強火にかけてもゆっくりと温度が上がっていくため、自然と「始めちょろちょろ」の状態になります。


沸騰した後は、すぐ弱火にしてOK。保湿性が高いので高温状態を持続でき、「なかぱっぱ」の段階と同じになります。重い蓋のおかげで鍋の中の蒸気を閉じ込めて炊きムラも起きにくく、パチパチと音がしたら火を止めても温度が保たれるので、「ぶつぶついったら火をひいて」の段階は余熱利用でクリア。


しばらくおけば、米がすっかり水分を吸って、ちょうどよい蒸らし加熱となり、デンプンが十分に糊化した、ふっくらしたツヤツヤなご飯が完成します。



なお、土鍋は急激な温度変化に弱くヒビが入ることもあります。火にかけるときは、底が濡れていたら、きちんとふき取ること。また、熱い状態の土鍋には冷水をかけないようにしましょう。

土鍋は蒸し野菜をも美味しくすることができる

土鍋を使った調理は、遠赤外線効果で美味しくなると言われています。遠赤外線とは、電磁波の一種である赤外線のなかで一番波長の長い種類。


対象物に吸収されると熱に変わります。食品に遠赤外線が当たると、表面が素早く熱せられ、内部はその熱伝導率で加熱されていきます。

土鍋に使われている粘土は、熱が加わると遠赤外線を出すため、さつまいもなどの根菜類を蒸すと、外はホクホク、中は甘くてしっとり仕上がります。


ただし、遠赤外線は水に吸収されやすい性質。蒸し焼きにする場合は、根菜類を水のたまった鍋底やほかの食材の下に置くと、遠赤外線が届かず、ホクホク感を得られません。一番上に置けば蓋からの遠赤外線と蒸気がムラなく当たり、美味しく仕上がります。

土鍋にこびり付いた焦げの取り方

土鍋にこびり付いた焦げは、なかなか落ちにくいもの。かといって、スチールタワシやスプーンなど、硬いもので無理やりこするのは、鍋を傷めることになるので避けるべきです。


こんなときは、水1ℓと重曹50gを入れて火にかけ、沸騰したら10分ほど弱火で沸かし続けましょう。


こうすると楽に落とせます。重曹はアルカリ性で焦げの成分と結びつきやすく、さらに熱が加わることで二酸化炭素が発生。焦げを浮かしてゆるめ、剥がれやすくするのです。


吸水性のある土鍋は、カビが生えやすいので、洗った後は風邪通しのよいところで完全に乾かしましょう。菜箸2本を並べた上に置いて乾かすと通気性がよく、釉薬が塗られていないそこの部分も早く乾きます。

一年中使える!ご飯炊きからローストビーフまで スゴイぞ!土鍋 (講談社のお料理BOOK)

一年中使える!ご飯炊きからローストビーフまで スゴイぞ!土鍋 (講談社のお料理BOOK)