Love Lab Kitchen

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ペパーによく似た彩りのスパイス、ポワブルローゼ

http://www.flickr.com/photos/22352091@N00/1250020095
photo by SimonWhitaker

スパイスそのものの色味を楽しむ

サフランやクチナシなどには、水に溶ける色素成分を持っています。そして、パプリカやターメリックは油によく溶ける色素成分をもっていることを説明しました。


しかし、スパイスによっては色素成分を持っていながら十分に溶解しないため、スパイスの果実そのままを料理に使い、果実の彩りを楽しむものもあります。その一つが、ピンクペパーです。


ピンクペパーは赤い色調の小さな果実で、ちょうどペパーの果実の形状によく似ているところからこの名前がついています。しかし、植物的にはペパーの種類とはまったく異なる「西洋のななかまどの実」です。


フランス名もやはり、色が赤く(ローゼ)、形状がペパー(ポワブル)によく似ているところから「ポワブルローゼ」と呼びますが、実際にはこう呼ぶのは正しくはないようです。なぜなら、フランスでいうポワブルローゼとは、厳密には唐辛子のことを示すからです。

ともあれ、ここでいうポワブルローゼは高さ10m~18mに達するバラ科の落葉高木で、北ヨーロッパが原産です。ヨーロッパ各地に野生していますが、赤色の果実を鑑賞するため、スカンジナビアなどでは栽培が行われ、さらに園芸用としても並木路や公園に植えられています。


5~6月ごろにクリーム色の花を咲かせ、初秋に赤い球形の果実を結実させます。園芸用・観賞用の品種の果実は直径4~5mmと小さいので、スパイスとして用いる場合は、果実をやや大きくした栽培変種から収穫されています。


日本にもこの近縁種がいくつかありますが、「ななかまど」もその一つです。ちなみに日本のななかまどは、この木を薪にすると、たいへん燃えにくくなり、かまどに7回いれてもまだ焼け残るところから名づけられたとも言われます。


ポワブルローゼの漿果は、形はペパーに似ているものの、当然ながらペパーの辛味成分はまったく含まれていません。香りも弱いのですが、ペパー用の芳香感をごくわずかながら持っています。食べるとやや酸味があり、また適度な渋味と苦味を持っています。


最近では乾燥したものが日本市場に出回っていますが、乾燥したものは渋味、苦味、酸味とも生ものよりも弱くなるので、赤い彩りとしてそのまま加えたりします。

鹿肉の臭みにも消せるほどの消臭効果

適度な酸味・渋味・苦味があるところから、肉料理によく使われます。そのほかの料理にも、赤い果実の彩りとして、そのまま加えればよいでしょう。食べてもさほど香味は強くないので、失敗はありません。


また、スカンジナビア地方では、この果実から作ったゼリーが美味とされ、よく用いられています。とくに鹿肉によく合うため、鹿肉料理にはつきものになっています。

ポワブルローゼのゼリーの作り方

果実に水を加えて煮立て、一度こします。これに砂糖を加えて、さらにゼリー状になるまで煮詰めればできあがり、綺麗な赤色のゼリーです。