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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

ピクルスと一緒に使うスパイス、ちょっとの辛味を楽しむディル

食材の話 食材の話-スパイスの話

http://www.flickr.com/photos/92766653@N07/8807705542
photo by diettogo1

ディルシードは辛目だけど消化器官に優しいスパイス

ディルは欧米で家庭菜園用に盛んに栽培されているセリ科の一年草です。草丈60~150センチ、全体にフェネルに似ていますが、フェネルよりも早く黄色の小花を咲かせます。植物全体に芳香を持っているので、葉茎も花も利用されますが、一般にスパイスとしては種子を使います。


ただ、スパイスでいう「ディルシード」は、本来この種類の種子を言いますが、しばしば世界の市場ではディルシードという表現が混同されています。インド産のディルは植物学的に別種で、ヨーロッパ向けにキャラウェイの代用品として輸出されたりしています。

また、ディルの漢方の生薬名は「蒔蘿」ですが、韓国市場の「蒔蘿子」はフェネルであることが多いので注意が必要です。


古くから消化器官へ鎮静効果が信じられ、ディルの名前も「鎮める」という意味をもつ古いスカンジナ語に由来しています。生薬名の蒔蘿も駆風剤を意味し、芳香性健胃・駆風剤として製剤に配合されますし、種子を水蒸気蒸留した「蒔蘿水」は子供の食べ過ぎにも役に立つと言われています。


ディルは紀元前4000年代にメソポタミア地方を征服したシュメール人によって栽培され、その後のバビロニア、ギリシア、ローマなどに広がったと言われています。中国には8世紀以前に伝来したようです。暑さにも寒さにも強く、栽培しやすいので、現在はヨーロッパからソ連、アメリカなど世界各地で利用されており、日本でも栽培可能です。

ディルシードは少しの辛味や刺激を味わうもの

植物全体に芳香がありますが、葉茎と種子とでは香味が異なります。欧米料理ではディルウィシードとして知られるディルの葉がよく使われますが、葉の部分はすっきりとした快い芳香があります。


ディルシードはやや刺激的で芳香で、味わっているうちに焼けるような辛味を感じます。芳香成分の主成分はカルボンで、精油の40%~60%を占めます。これはキャラウェイと同じ芳香成分なので、ディルとキャラウェイの香りはよく似た印象を受けます。また、葉の形は先に述べたようにフェネルに似ていますが、フェネル様の甘い芳香は感じられます。

ディルは栽培しやすいうえに葉、茎、花、種子のいずれも幅広く利用できるので、各国で愛用されています。とくに、北欧やソ連の料理には欠かせないスパイスで、魚料理やパンに、またピクルスの風味づけによく使われています。アメリカではディルの芳香を強調した@ディルピクルス」が好まれ、製品化されたものが日本市場にも出回っています。インドではカレー料理にも使われています。

ディルシードは細かく刻んで使ってみよう

生の葉はすっきりした快い芳香感を生かすために、そのまま細かく刻んでスープやサラダ、茹でたジャガイモにふりかけて使います。伊勢海老とか鮭、ニシンのような魚介類にもよく合うので、刻んだ葉をマリネやソースに使ったり、料理の上から飾りに添えたりしてもいいでしょう。


シードはショウガよりも香味が強いので、加熱する料理に向きます。そのままの原形か粉末状にして、ライ麦パンやパイ皮の風味付けに使ったり、魚料理用のソース
シチューにも。


ディルは野菜のピクルス、とくにキュウリのピクルスと相性がいいのですが、この場合も種子を原形状で加えるとよいでしょう。家庭菜園で栽培した場合は、フレッシュな若葉や花も一緒に加えると、いくぶん甘さをもった、すっきりとした芳香が味わえます。パウダーは苦味が出るので、ピクルスには不向きです。


また、ディルビネガーの作り方も簡単。シードや若葉を数日間、ビネガーにひたしておくだけでよく、サラダドレッシングなどに利用できます。

ユウキ MC WS ディルウィード(ホウル) 8g

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