読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

甘さとほろ苦さが共有する繊細な香りを含むマジョラム

http://www.flickr.com/photos/63613245@N00/4248769403
photo by Dalboz17

マジョラムはミイラを作るのに使われた魔除けのスパイス

マジョラムはシソ科の多年草で、地中海沿岸で古くから栽培されていたスパイスの一つです。古代エジプトでは王や高貴な人の遺体をミイラにして保存していましたが、このときに使われていたスパイスがこのマジョラムです。(他には、クンミやアニスなども使われていましたが)


古代ギリシア・ローマ時代には、マジョラムは幸福のシンボルであるとされ、墓の上にマジョラムが生えれば、その死者が永遠の至福を謳歌している証であると信じられていたようです。また、新婚夫婦に被せる冠として使われたり、中世には魔法使いの術にかからない魔除けと考えられていました。

マジョラムは非常に品種が多く、また、同族のシソ科の植物と形態が酷似するため、市場でもしばしば混乱を起こしています。一般に栽培されているものを大別すると「スイートマジョラム」と「ポットマジョラム」の二つに分けられますが、今日では地中海沿岸を原産とするスイートマジョラムをマジョラムとすることにほぼ意見が一致しています。


栽培は種子を撒いて行いますが、栽培には十分な日当たりが必要です。本来、マジョラムは気候温暖な国々では多年植物ですが、冷たい冬は越せないため、寒冷地では半耐寒性の一年生植物になってしまいます。収穫は花が咲く7月~8月ごろには行い、地上部5~8センチのところから刈り取ります。もしその後の苗の発育がよければ、10月ごろに二回目の収穫が可能です。

甘さを含んだマジョラムは繊細な芳香

マジョラムはタイムやオレガノなどと共通の芳香成分をたくさん含有しているので、ちょうどそれらをミックスしたような芳香に特徴があります。しかし、タイムよりも香りに甘さが強く感じられ、オレガノよりは芳香感が弱い。


それだけ香りに繊細さがあり、多少のほろ苦さも感じられます。また、生の状態と乾燥した状態とでは香味の強さも質感も異なります。さらに精油の含有量は開花状況によっても大きく異なり、精油含量は開花四日目まで増加しますが、それ以後は時間とともに減少します。そのため刈り取り時期が品質面で重要となります。精油の主成分はテルビネンで、精油の約40%を占めます。


生の葉も乾燥した葉も利用でき、ヨーロッパ各地の料理には様々な形で登場します。とくにトマトを用いた料理にはよく使われ、イタリアではパスタのトマトソースやトマトケチャップの香りづけに欠かせないスパイスとなっています。

マジョラムを使うコツは、あまり長く火を加えないこと

繊細で甘美な生の葉は、そのまま薬味やサラダ料理の付け合わせに。例えば、みじん切りにしてレモンのしぼり汁とともにドレッシングに加えたり、スープに散らします。


乾燥したものは粉末にして、レバーミスと、ソーセージ、チーズ、スープ、シチューなどの料理に使われるほか、豆類やトマトの味の煮込み料理にも最適です。また、効果はいくぶん弱いのですが、ラムやマトンなどの羊臭やレバー臭などによく合うので、矯臭の目的で使えます。


いずれにしてもマジョラムは芳香感が繊細なため、特有の芳香が調整中に失われやすいのです。臭み消し以外の目的で使うときは、なるべく調理の仕上げ寸前に加えるが、オムレツのようにあまり長く加熱しない料理に使うのがコツ。煮込み料理の場合は多めに加えるとよいでしょう。


逆に、マジョラムの香味感が気になるときは、タイムやオレガノなど他のシソ科のスパイスを混ぜ合わせると、スパイス全体の香味がかえって弱まり、よい結果が得られます。

マスコット マジョラムFD 2.5g

マスコット マジョラムFD 2.5g