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豆料理に使ってみよう、ヨーロッパ原産のセイボリー

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photo by kurmanstaff

ヨーロッパで愛用されているスパイス

セイボリーは地中海地方を原産地とするシソ科の植物で、日本では「木立はっか」と呼ばれています。香味がハッカのように爽やかで、繁茂した葉がちょうど木が立っているように見えるところからこのようなネーミングになっています。


独特の芳香はギリシア半獣神のお気に入りで、媚薬として用いられていた・・・、そんなエピソードから分かるように、ヨーロッパでは古くから食用・薬用として使われてきました。

ロンドンで出版された「十五世紀の医療秘伝書」という本には、処方箋に26種類のスパイスが記載されていますが、この中にもセイボリーが咳の治療薬の成分として登場しています。現在も場所によっては、民間薬として自家中毒症(痛風、リューマチなど)や喘息の発作鎮静などに使われています。

ペパーに似た辛味と癖のある芳香

セイボリーは大きく分けて、一年草の「サマーセイボリー」と、宿根草の「ウインターセイボリー」に分けられます。サマーセイボリーは高さ10~60センチ、茎は淡紫色で、薄く綿毛で覆われています。ウインターセイボリーは叢生する低木で、生長すると150センチにもなります。葉はサマーセイボリーに似ていますが、先端が鋭く尖っている特徴です。


一般的にサマーセイボリーの方が芳香性に富み、スパイスとしての評価が高く、生あるいは乾燥して広く使われています。独特の強い芳香とわずかにペパー様の刺激的な辛味感があり、ドイツでは別名ペファークラウトと呼んでいます。また、後味として若干の樹脂臭とほろ苦さも感じられます。


これに対してウインターセイボリーは、芳香性はやや劣りますが、刺激は強く感じられるので、スパイスとして使うときはサマーセイボリーの方が、香味感が穏やかで好まれるようです。


このセイボリーの香りの特徴は、芳香成分であるカルパクロールの含有量によって大きく左右されます。カルバクロールの含有量が多いものほど、タイムのような刺激感が感じられますが、この成分がタイムの主成分であるチモールの異性体であるものからです。いずれにしてもセイボリーの芳香はかなり強いので、使いすぎるとかえって料理の風味を損ないます。フランス人はこれを「イングリッシュミステーク」と称しているくらいです。

セイボリーはまず豆料理に使ってみよう

様々な料理に適しますが、ヨーロッパでは「豆のハーブ」と称して、インゲン豆、エンドウ豆、レンズ豆などの料理によく使います。とくにフランス、ドイツ、スイスで習慣的に使われています。


ヨーロッパの習慣に習って、まず豆の料理に使ってみてはどうでしょうか?グリンピースのポタージュなど、豆を使ったスープや煮込み料理に、ペパーやベイリーブスとともに加えます。また、サラダ用のインゲン豆や、ソラ豆を茹でるときにもよく合います。


生のセイボリーがあれば、パセリの感覚で茎や葉を使ってよく、新鮮な若葉を刻んで料理の彩りや飾り付けなどに用います。ソーセージやミートパイ、スープなどに添えると、ピリッとした刺激的な風味が楽しめます。


また、ビネガーに漬け込んでセイボリー風味のビネガーを作っておくと、ドレッシングやマリネに手軽に使えます。


乾燥した葉は小さく刻むか、あるいはパウダーにして、他のハーブ類と一緒に肉料理や卵料理に用います。臭み消しの効果が期待でき、同時にセイボリーの香味もマスキングされます。とくにウインターセイボリーは、なるべく他のスパイスとブレンドして使うのがコツです。