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青葉と熟果で異なる香りが楽しめるスパイス、コリアンダー

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photo by zoyachubby

聖書にも登場するコリアンダー

コリアンダーは、南ヨーロッパ原産のセリ科の一年草です。その歴史は古く、聖書にも記されていますし、古代ギリシャの“医学の父”ヒポクラテスは健胃、催眠作用などの薬効を挙げています。また、中世ヨーロッパや「千夜一夜物語」では媚薬、催淫材として用いられていた記録もあります。


このハーブの葉や未熟果の芳香感にはかなりクセがあり、よく南京虫の悪臭に例えられます。しかし、完熟した実はアニスのような、あるいはレモンとセージをミックスしたような甘い芳香を持つようになり、同じ植物とはちょっと信じられないほど。香りの成分も、前者はカプリアルデヒドですが、完熟後はコリアンドロールと呼ばれる物質が精油中の60~70%を占めています。

コリアンダーの名前もこの香りからきていて、Korisu(南京虫)とAnnon(アニスの種子)との合成語コリアンドルム(学名)に由来します。和名の「こえんどろ」は、ポルトガル語のコエントロが訛ったものです。中国では「香菜」と呼ばれています。


栽培は日本の気候でも可能で、春に種子を捲きますが、暖地では秋まきでも育ちます。葉を収穫する場合は、30~40日ごろの若い葉がよく、花を付け始めると茎が固くなって食感が悪くなってしまいます。


種子の(植物学上は果実)の収穫は果実色が緑色から黄褐色に変わる7月~8月ごろに。未熟果には不快臭があるので、完熟したものを収穫するように注意します。いずれにしても、スパイスとしての最高の芳香を得るのでしたら、収穫後の乾燥を完全に行うことです。

コリアンダーの芳香は嗜好性が強い

さて、このように異なる芳香を持つ青菜(および未熟果)と完熟シードですが、どちらもスパイスとして広く用いられます。


青葉の芳香(不快臭)は南京中様の青臭さを持っているため、嗜好性が極めて強く、ことに日本では一度で辟易する人、病みつきになってしまう人と極端に評価が分かれがちです。しかし、まだ茎立ちの国々でも常食されています。



使い方はパセリや日本のセリによく似ていて、生のまま冷菜の飾りとして添えたり、スープやおかゆの実に散らしたり。また中国料理では羊の料理に若葉を細かく刻んでタレの中に加えますが、これは肉の臭み消し効果を期待したものです。インドタイプのカレー料理やチャツネを作るときも、コリアンダーの葉は不可欠なスパイスとされています。


一方、完熟シードは甘い芳香が特徴ですから、青葉よりは使いやすいといえましょう。

完熟実はカレーパウダーに最適

完熟実は丸ごとピクルスやカレー料理に使ったり、粉末にしてソーセージや挽肉料理の臭消しに用います。


カレーには粉末で加えた方がよく、インドでは種子を挽く前に、少し焙煎します。加熱によって甘い芳香がより強調されるためで、こうすると甘味の料理にも合うようになります。

他のスパイスにも共通することですが、コリアンダーの使い方のコツは、多く加え過ぎないこと。また香味に慣れるまでは、単品で使うよりもブレンドして用いた方が、嗜好性もよく効果的です。


相性いいのは甘い芳香を持つアニス、カルダモン、クローブ、シナモン、ナツメグ、セージなど。これらのスパイスとブレンドまたは併用すれば、ベーカリーの記事に練り込んだり、カスタード類やチョコレートなどにも応用できます。

マスコット コリアンダーシード 20g

マスコット コリアンダーシード 20g