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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

肉やオレンジに刺して使う、クローブの魅力

http://www.flickr.com/photos/36330825967@N01/5272498905
photo by jon_gilbert

侍が好んで使ったスパイス、クローブ

クローブは日本人にとって、あんがい馴染み深いスパイスです。
クローブは英名ですが、和名では「丁字」といい、古くは正倉院の御物の中にもあります。

このクローブの芳香は強い刺激のある清々しさに特徴があるため、戦国時代には出陣する際、丁字の油を利用し、香りをかぶとにたき込めたとも言われています。また、刀剣類の錆止めなどにも丁字の油を利用し、江戸時代には丁字の精油を椿油で抽出したものを香油として用いていました。そして、このクロープの芳香は、何よりも日本人が好むトンカツソースの主要香味成分となっています。


クローブの木は高さの10メートル以上に達する熱帯の常緑樹です。花期は夏で、長さ1~2cmの釘に似た形状の蕾を付けます。スパイスとしてはこの蕾を利用しますが、クロープという名称は釘を意味するフランス語のClouに由来しています。これが英語のCloveに変化したものです。また、和名の丁字も子の形状から付けられています。


クローブの最大の特徴は、やはりその強い芳香にあります。なにしろクローブには、「百里香」の別名があるほど、遠く離れていても香気が感じられるとされ、人によっては強い刺激臭として感じられますが、甘いバニラ様に香味も持っています。


この香味の主成分はオイゲノールで、この成分が多く含まれるものほど香味が強く感じられます。一般に収穫時よりも乾燥したもののほうが、ずっと香りは強烈です。またほかのスパイス同様、加熱によって刺激的な香味はかなり弱くなります。


クローブは香りが強烈だけに、使い方を誤ると「薬臭い」といって嫌われがちですが、ごく弱めで使えばトンカツソースで認められるように日本人の嗜好によく合うスパイスなのです。香りをつけるだけではなく、料理素材の気になる臭いを消す作用も持っています。

特に、肉の臭み消しに効果があるので、肉料理、ミートソースやハンバーグなどの挽肉料理に用いると良いです。また、バニラのような甘い香りを生かし、焼き菓子などの甘い料理などにも使えます。


ちなみに料理以外の利用方法としては、インドネシアの通称、“ガラム煙草”が有名です。煙草の葉にクローブを混ぜてあるもので、この国に旅行した人は空港に降り立ったとたん、甘い特有の匂いを感じた経験があるのではないでしょうか。全世界のクロープ生産量の、実に約半分がこの煙草に使われるため、インドネシアはクローブの主要生産国でありながら大量に輸入もしているのです。

クローブは量を使い過ぎなければ大丈夫

クローブは料理の応用範囲も広いので、ぜひとも上手な使い方をマスターしたいスパイスの一つです。量を使い過ぎないように、またなるべく加熱料理に使って芳香を弱く生かすようにすると、幅広く好まれるでしょう。


まず、肉料理、挽肉料理にパウダーを練り込んで使うのが一般ですが、ポークの塊肉やハムなどに、クローブのホールを刺してオーブンで焼くのもいい方法です。こうするとポークやハムの臭みがとれる反面、クローブの臭みはさほど感じられません。見た目も豪華なので、そのままテーブルに出して切り分けると楽しいのですが、クローブは直接食べないようにして下さいね。

バニラを使った焼き菓子などにはパウダーを生地に混ぜておくと、互いの香りを引き立てる相乗効果が発揮されます。また、焼きりんごにクローブのホールを1~2本刺したり、オレンジやレモンのスライスに刺し、これをカクテルや紅茶などに添えて香りを楽しむのもおしゃれですね。