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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

エキゾチックな熱帯の香りを持つナツメグの使い方

食材の話 食材の話-スパイスの話

http://www.flickr.com/photos/76756854@N00/2084194467
photo by un flaneur

ナツメグの特徴は甘い香りと刺激感

ナツメグは、和名「ニクズク」。ニクズク科の常緑樹の果実から取れるスパイスですが、この木は熱帯地方かつ、海の匂いのする場所でしか育たないとされています。主産地は、東インド諸島、モルッカ諸島、スリランカなどで日本での栽培はほぼできないと言われています。


ナツメグは、アプリコットによく似た果実から採取します。この木は、雌雄異株なので、雌花と雄花は別々の木に咲き、雌の木にだけ結実します。完熟した果実を二つに割ると網目状の鮮紅色の仮種皮が出てきますが、これは「メース」といって、スパイスとしもて活用されています。

このメースを取り除いた黒褐色の殻を天日乾燥して木槌で割ると、中から褐色の種子が出てきます。この種子が「ナツメグ」です。
ナツメグがヨーロッパに知れ渡ったのは、12世紀末といわれています日本には嘉永元年1848年長崎に初めて苗木が移入されましたが、当時はニクズクではなく、シシズクと呼んでいました。ししとは、肉の古語です。英名のナツメグは、nuts+megとされ、豆のムスクから由来され、ムスクのような芳香をもつ豆という意味です。

ナツメグは挽肉料理に合う

同じ果実からとられるだけに、ナツメグとメースの香味はよく似ており、エキゾチックで甘い香りと、まろやかなほろ苦さに特徴があります。しかし、比べればメースの方が刺激感、芳香感、苦味感とも弱く、繊細な香りを持っています。値段の点では、収穫量の少ないナツメグの方が高価ですね。


ナツメグとメースの精油成分は深い集をマスキングするのに効果的で、とくにキャベツを加熱調理するときに生じる含硫黄化合物の臭みを完全に消すことができます。また、ナツメグは肉の臭み消しにもよくつかわれ、ことにハンバーグ、ミートローフ、ミートソースなどの挽肉料理には不可欠なスパイスとされています。肉料理のソースやトマトケチャップなどにも、ナツメグは主要原料の一つとして活躍しています。


ナツメグが肉の臭みを取る作用は、オニオンやガーリックなどとはメカニズムが異なります。オニオンなどは、その成分である硫黄化合物が、肉の臭み成分に作用して化学的に変化させるのですが、ナツメグの場合はむしろ、その芳香によって臭みをカバーするマスキング効果が強いのです。ただし、その矯臭効果はそれほど強いわけでもなく、かといって大量に使うとナツメグ臭い料理になってしまうので、他のスパイス類と併用させなくてはなりません。

ナツメグの効果的な使い方

ナツメグを挽肉料理に使うときは、直接振りかけて調理するのではなく、下ごしらえのときに挽肉の中によく練りこむことです。そのあと加熱することで、肉の臭みもナツメグ臭みも弱くなります。単独で使うよりオニオンと併用する方が、臭みの消しの効果は上がります。


また、ナツメグの香りが気になる場合は、シナモンやクローブ、オールスパイスなど、香りの傾向が似ているスパイスを併用するとナツメグ臭が抑えられ、嗜好的に好まれます。


また、ナツメグの甘い刺激的な芳香は、クッキーやケーキなどベーカリー類によく合います、熱を加えて調理すること刺激臭が弱まり、甘さ感が強調されるためです。この場合も、シナモン、アニス、フェネルなど甘い香りのスパイスと併用した方が、より効果的に仕上がります。


同じようにメースも利用できますが、ナツメグよりも全体に香味が弱く、また色合いも薄いので、プディング、エッグノッグなどの乳製品やクレームパイなど、淡い色の料理に向いています。