Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

スパイスの着色を楽しむ7つのポイント

http://www.flickr.com/photos/61223211@N00/1117276282
photo by tonnoro

スパイスの着色能力は水と油で異なる

スパイスの主な有効成分として、芳香成分と辛味成分とがあることを、すでに皆さんご存知かと思います。

実はもう一つ、スパイスには大切な成分があります。それはスパイスの色、着床成分です。

スパイスの持つ着色性を上手に利用した料理はたくさんあります。世界的に有名で日本人にも馴染みのある家庭料理でいえば、ピラフ、パエリヤ、リゾット、ブイヤベース、ビーフシチューなどなど。いずれも赤や黄金色の鮮やかな色が食欲をそそりますが、これらはスパイスの着色成分を利用しています。


スパイスの色素は、大きく水に溶けるタイプと油に溶けるタイプがあります。これを言い換えれば、水で煮たりする料理で綺麗に発色するタイプと、油などで炒める料理で綺麗に発色するタイプに分けられます。


これらの特徴をよく理解していれば、いろんな料理に応用することができます。しかし、逆に不適当な使い方をすると、料理に期待しなかった色を生じてしまうことになります。


それが高いスパイスとなると、大変な失敗をした、とがっかりしてしまうことでしょう。


例えば、サフラン。サフランはスパイスの中でも最も高価な部類に入りますが、パエリヤやブイヤベースの美味しそうな黄金色と香りを出すためには不可欠なスパイスです。


あの独特な黄金色は、サフランの中に含まれる色素成分・クロシンの働きによるものです。この成分は水には溶けますが、油には溶けない性質を持っています。


パエリヤもブイヤベースも水で炊く料理なので綺麗に着色されますが、このサフランを油などで炒めてしまうと、当然ながらあの黄金色は出せません。


水溶性の色素の例をもう一つ。日本や中国ではクチナシの実を料理に着色する目的で使いますが、この実に含まれている主な色素もクロシンです。実際に使い方を見ても、きんとんやおこわなど、いずれも水を使っていますよね。


一方、パプリカはサフランと同じように赤い色調を示していますが、含まれている色素成分はサフランとは異なるβ-カロテンです。この色素はクロシンとは反対に、油によく溶けますが、水には溶けない性質を持っています。パプリカが、マーガリンの着色やビーフシチュー、ドレッシングなどの油料理の色付けに使われるのは、そのためです。


つまり、サフランとパプリカは同じような色合いを持っていますが、色素の性質は全く違うのです。このことを理解すれば、サフランの代替品として、単純にパプリカを使うことはできないことが分かると思います。

着色性を上手に生かす7つのポイント

スパイスの着色性を効果的に生かす方法はいろいろあります。上に説明したように、色素は水や油に溶けるので、その性質を利用するのがひとつ。

サフランも予め水かお湯に浸して色素成分を十分に溶かして、その着色液を使うようにします。ラー油は、油に唐辛子の辛味成分と着色成分を溶かし込んで特色を出した調味料です。


このように色素成分を溶かして使う場合、その浸す液を工夫すると、スパイスがもっと面白くなります。例えば、赤シソやハイビスカスなどの着色成分はアントシアン系の色素ですが、この成分は浸す液が酸性のときと、アルカリ性のときでは色調が異なります。


また、色素は金属と反応すると色調が安定する性質があります。スパイスではありませんが、同じアントシアン系の色素成分を持っているのに、黒豆があります。


黒豆を煮込むときに、古釘をガーゼに包んで一緒に煮込み、色よく仕上げるのはこのためです。反対に黒豆に重曹を加えて煮込むと、豆は柔らかく仕上がりますが、色調は悪くなってしまいます。


また、栗やサツマイモの黄色はフラボイノド系の色素によるものですが、この成分はミョウバンを加えて煮込むと色が鮮やかになります。これはミョウバン中のアルミニウムが色素と結合して、フラボノイドの黄色が安定するためです。


以上はスパイス中の色素成分を溶かして使う例ですが、スパイスによっては色素成分が調理の段階で溶け出さないものもあります。


こういうスパイスは、料理にそのまま使うのがもっとも簡単な方法です。

ただし、この場合でもなんら手を加えないでそのまま使う場合と、一旦柔らかくしてペースト状にして使う場合とがあります。


例えば、パセリは、そのまま料理に添えると、鮮やかなグリーンの色調が楽しめます。その他のグリーン系の多くのスパイスは、ボイルしたりして柔らかくし、それを裏ごししたり、すり潰したりすれば、スープやソースなどに色をつけることができます。


このようにスパイスの持つ着色性はどれも同じではなく、それぞれに個性がありま。そこで、どうしたらスパイスの着色性を料理に効果的に生かせるか、基本のコツをまとめてみました。


①スパイスの色素成分は、水に溶けるもの、油に溶けるものを使い分ける

②スパイスの色素成分は、酸性とアルカリ性の状態では色調が異なる

③スパイスの色素成分は金属イオンと結合して安定する

④スパイスの色素成分は調理中に溶け出さないものがあり、そのまま料理に使う方が良いものがある

⑤スパイスの色素成分は高温で加熱すると変化するので、加熱条件を工夫する

⑥グリーン系のスパイスは裏ごししてソースなどに加える

⑦スパイスを乾燥させて、ソースやスープに混ぜて色調を出す

家庭で作れるスペイン料理---パエリャ、タパスから地方料理まで

家庭で作れるスペイン料理---パエリャ、タパスから地方料理まで