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コーヒーの香りの正体。コーヒーを飲めば糖尿病のリスクが減るらしい

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photo by rpavich

コーヒーの香り成分は何でできているのか

私たちが普段飲んでいるコーヒーは焙煎(炙って炒ること)されたコーヒー豆の抽出液です。コーヒー豆はコーヒーノキ(アカネ科の植物)に実る、成熟した赤い果実の種子です。


コーヒーに含まれているカフェインには、目が覚めるといった覚醒作用や、利尿作用があります。

コーヒー豆を焙煎すると、コーヒー独特の香りが漂ってきます。この香りの正体は、約20種類もの物質が混合物で「ピラジン」と呼ばれる揮発性物質が主成分です。ピラジンはコーヒー豆に含まれているアミノ酸と糖分が元になり、焙煎によって作られます。


最近の研究から、コーヒーの香りが持つリラックス作用の科学的根拠が示されました。コーヒーの香りが好きな人と嫌いな人を無作為に選んでいろいろな香りをかがせたときの脳波を測定する実験が行われました。


その結果、好き嫌いに関わらずコーヒーの香りを嗅いだ際には、リラックスした時に表れるα波の増強などが認められたのです。


焙煎によって、コーヒー独特の色である黒褐色を作り出す色素も生成されます。その代表的な色素は「メラノイジン」という色素です。焙煎が進むと、褐色から黒っぽくなっていきます。

コーヒーを飲むと糖尿病や肝臓ガンになりにくい

見た目が黒いコーヒーは、体に毒だと言われた時代もあります。しかし、最近の研究報告によると、コーヒーは2型糖尿病の発症や肝臓がんの発症を抑制する可能性があると言います。

2型糖尿病とは、運動不足などによる生活習慣が原因で起きます。糖尿病は、血液中の糖分濃度を制御する「インスリン」というホルモンの分泌量が少なくなったり、その効き目が弱まったりすることで発症します。

コーヒーと糖尿病の関係に詳しい国立国際医療研究センター糖尿病研究部部長の野田光彦博士は、「コーヒーをよく飲んでいる人には、2型糖尿病を発症する人が少ないことが分かってきました」とあるインタビューで答えていました。


なぜ、コーヒーを飲むと糖尿病が抑制されるのか。その理由は、完全に証明されていません。しかし、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」というポリフェノールは、肝臓で糖分を作る作用を抑える働きを持つそうです。


つまり、クロロゲン酸には、空腹時などの血糖値が高まるのを抑えてくれる効果があるのかもしれないのだといいます。そのために、肝臓の働きの正常化を理由に肝臓ガンについても発症を低減させることができるかもしれないとのことです。

コーヒーを控えた方が良い人

野田博士は、インタビューでは「妊娠・授乳中の人、腎臓が悪い人、心臓病を持つ人、家系に膀胱ガンが多い人はコーヒーを控えた方がよい」と答えていました。

カフェインは母親の胎盤を通して胎児に移行してしまいます。胎児はカフェインを処理する酵素が少なく、カフェインが蓄積されやすいそうです。多量のカフェインを飲むと、流産や早産などを引き起こす可能性があると言われています。


ただし、カフェインを摂りすぎなければ問題はありません。だいたい、1日に150mg程度(スターバックスラテ1杯分)までなら摂取してもよいとのことです。


また、コーヒーを飲んだ母親の乳にはカフェインが含まれています。そのため、それを飲んだ子供にも覚醒作用が働き、寝つきが悪くなる可能性もあるといいます。


コーヒー豆には、カリウムが多く含まれています。腎臓に悪い人で、もともと血液に含まれているカリウム濃度が高い人では、コーヒーを飲むことで、体内に含まれるカリウムが過剰に増えて不整脈が起きやすくなってしまいます。


また、胃の調子がよくないときにコーヒーを飲むと余計に調子が悪くなるように感じる人がいるかもしれません。コーヒーの成分が胃の収縮を促すという説もありますが、しくみについてはまだ研究段階だと言います。




コーヒー摂取の適量とは

コーヒー1杯(150ml)あたりに含まれるカフェイン量は、80~180mgです。400mg以上の飲用で不眠を引き起こす人もいるので、コーヒーは1日3杯程度までに抑える方がよいでしょう。


東京薬科大名誉教授の岡希太郎博士は、「医薬品としての標準的な考えでは、カフェインの1日の最大摂取量は900mgです。1日10杯以上コーヒーを飲む人は、普通のコーヒーを薄めて飲むか、カフェインをあまり含まないデカフェタイプのコーヒーを飲むと良いでしょう」とインタビューで答えていました。


ただし、コーヒーが糖尿病を抑制するとした場合、カフェインの作用にある部分があるとしてもそれは期待でいないし、デカフェタイプのコーヒーでは、製造過程でカフェイン以外の成分も減ってしまうことが分かっています。


ちなみに2004年、カフェインを作る酵素を含まない「天然デカフェコーヒーヒノキ」がエチオピアで見つかっています。しかし、この木の栽培はとても難しいらしく、商品化に向けて努力されています。世界の多くの人を魅了するコーヒーの開発は今後も続けられるでしょう。

たまには高級コーヒー豆を使って自分でコーヒーを挽くのもいいかもね!