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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

しゃぶしゃぶの温度は80度、和牛香のラクトン類が活発に生成される

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http://www.flickr.com/photos/46319764@N07/5070508687
photo by calltheambulance

しゃぶしゃぶは和牛肉の魅力を最大限に引き出すための鍋料理

ご馳走感のある牛肉のしゃぶしゃぶ、箸で挟んだ和牛肉を湯の中で泳がすというシンプルな料理だけに、素材選びや加熱の仕方で、味が全く変わってしまいます。


牛肉の美味しさの決め手の一つになるのが脂肪の質。日本人が好む松坂牛や仙台牛といった、とろけるようで、なめらかな美味しさが和牛肉の特徴です。


これは、脂肪の溶けやすさ、に美味しさの秘密があります。牛肉の脂肪が溶ける融点は約46度から56度。脂肪を構成する脂肪酸には、『飽和脂肪酸』と『不飽和脂肪酸』があり、不飽和脂肪酸が多い脂質は、飽和脂肪酸より融点が低い特徴があります。


和牛肉では、飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の比率が輸入牛肉よりも大きく、そのために口に含むと脂が速やかに溶け、口当たりよく感じます。


さっと湯にくぐらせて肉の旨味や食感を楽しむしゃぶしゃぶには、和牛肉がぴったりなのです。


また、加熱した和牛肉の甘くてコクのある香りには、『和牛香』と呼ばれ、これも美味しさの大きな魅力となっています。



和牛のラクトン類が香り放つ温度

この香りの素はラクトン類と呼ばれる成分です。加熱して脂と空気中の酸素が結び付いた時の発生成分と、赤身の成分が反応したとにラクトン類が生成されて香りを放ちます。


脂肪と赤身がより多く接している程、ラクトン類がたくさんできるので、赤身の中に細かく脂肪のサシが入った霜降り肉は和牛香が強く、美味しく感じられるのです。


ラクトン類による和牛香の発生は、加熱する温度によって大きく変わります。一番和牛香が強く出るのが80度ぐらい。なんと100度の時の5倍になります。


100度という高温では、ラクトン類が別の物質に変わったり、微量の香り成分が揮発したりして、和牛香が失われてしまうのです。


しゃぶしゃぶをするなら、グラグラと煮立った湯ではなく、少し低い80度の温度帯の湯にサッと入れるのがポイント。肉に火が通る15秒から20秒泳がせ、加熱が進み過ぎないうちにタレをつけて食べれば肉がベストの状態で美味しくいただけます。

何回か肉に湯にくぐらせると肉汁で赤く濁ってしまいますが、これは湯が沸騰していないため。気になったら一度、火を強くして沸騰させると、肉汁が白いアクになって浮き上がってくるので、すくって綺麗にできます。