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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

生姜は東洋のスパイス、芳香成分と不思議な効力

http://www.flickr.com/photos/32593095@N00/61781858
photo by jamesjyu

生姜は日本のスパイス

生姜は中国から日本へ渡米してきたスパイスです。古名を「くれのはじかみ」と言いますが、中国の呉の時代に日本へ入ってきたとき、日本の「はじかみ」(山椒の古名)と同じような辛味をもっているところから名付けられたと言われています。


東洋のスパイスの中で最初にヨーロッパに伝わったスパイスと言われ、アラビア商人によってギリシア、ローマへと広まっていきました。現在ではジャマイカが世界有数の生姜の生産国ですが、16世紀の初めにスペイン人のフランシスコ・メンドーサによって、移植されたのが始まりです。

スパイスとしては地下の根茎部を利用します。品種はそれほど多くはありませんが、日本では大きさによって大生姜、中生姜、小生姜などのグループに分けます。


諸外国では乾燥した生姜を料理に用いることが多いのですが、日本では生育段階でそれぞれの香味感を料理に生かしています。

夏には茎葉をつけたままの生姜を早取りした「葉生姜」または「新根生姜」などの新鮮な香味を味わいます。初秋の頃に収穫する「秋生姜」は、繊維がまだ少なく肉質も柔らかいので、味噌漬け、酒粕漬け、梅酢漬け、などに加工されます。


日本料理に多く用いられるのは、この秋生姜で、刺身、煮物、焼き物、冷奴などの薬味や臭い消しに最適とされます。「ひね生姜」は非常に辛い反面、魚や肉の臭み消しには効果抜群です。


生姜甘くてすがすがしい芳香と、さわやかな辛味感に特徴があります。辛味成分と芳香成分とが含まれているわけですが、辛味成分は不揮発性でショーガオール、ジンゲロンなどが知られています。この辛味を有効に利用するために、加工食品用として根茎から溶剤で抽出した「オレオレンジ」という辛味付け用調味料も売られています。


香り成分としての精油は、根茎部を水蒸気蒸留して得ますが、その収穫量は少なく0.3~3.0%程度です。主な芳香成分は、ジンギベレン、リナロール、シトラール、シネオールなどで、生のままおろして使うとかなり強く匂いますが、十分に乾燥させると芳香性は弱くなります。




生姜の力の不思議

前にも述べましたが、生姜は古くからその薬効かが知られていて、世界中で重用されています。数ある漢方薬の半分には生姜が入ってと言われているほどなんです。あの孔子も愛して食べていたという記録もあります。


また、生姜は食べて体に良いのだけではなく、肩こりや患部にすり込んだり、お灸にしたりする民間療法も中国では昔ながらに行われてきました。


しかし、その昔、生姜には効用も多く、皇族・貴族のみが食べられる高級品であり、意外なことにも一般の人たちが口にできるようになったのは100年ぐらい前の近代になったからだそうです。


香味野菜としての生姜は、炒め物や煮物、スープなどによく使います。特有の香りは肉の魚の臭みを消し、舌に刺激を感じる辛味は味のアクセントになり、口をさっぱりとさせてくれる効果もあります。


また血行を良くし、体を温める効果から風や冷え性によい食品として知られています。


さらに生姜には、タンパク質を分解する成分があるので、肉をすりおろしたものや絞り汁に漬けたりすることで風味を加えるとともに消化も促してくれます。


生姜のもつ効用は、特有の香りと辛味にあります。そして、生姜が面白いのは、生と加熱したときでは、味や体に働きかける効果が違うのです。生姜の辛味の主成分がジンゲロールは、乾燥や加熱により化学変化でショウガオールに変化します。


生のときのジンゲロールには、強い抗菌作用があることが知られています。刺身の薬味に使ったり、寿司にガリ(生姜の甘酢漬け)を添えるのは、味のためだけではなく、生魚に付着していることがある食中毒の原因菌を殺菌するためでもあります。


歯周病の原因菌、胃炎や胃潰瘍の原因となるピロリ菌への殺菌効果も報告されています。なお、ジンゲロールは酸化しやすい性質なので、より強い殺菌効果を望むなら食べる直前にすり下すようにしましょう。


加熱や乾燥などで変化したショウガオールには、抗菌作用に加えて抗酸化作用、血中コレステロールを減らす働き、免疫力を高め、感染症の予防に役立つなどの働きがあります。また近年、その抗菌、抗酸化力によりがん予防の効果がある成分として注目されています。


また、生姜の香りの主成分ジンギベレンには胃腸の機能を高め、下痢を緩和するなど、解毒の作用があるとされています。この成分は細胞が破損されるほど、酵素の働きが活発になり、薬効が生かされるので、みじん切りにしたり、細かいおろし金でおろしたりするのはそのためです。