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カマンベール・チーズに代表されるフランス東部のチーズ一覧

1つの村に1つのチーズ

フランスには「Un village un fromage」という言葉があります。これは「1つの村に1つのチーズ」という意味で、こんな言葉があるほどフランスには多種多様なチーズがあります。


それはフランスの非常に変化に富んだ国土と、そこからもたらされる自然環境の多様性から生み出されたものです。その土地ごとの特色を大きく表す食べ物なのです。


例えば、1年中青々とした牧草地がある北部は、そこで伸び伸び曽田だった牛のミルクから濃厚な風味の柔らかいチーズが作られます。フランス東部では、山々と平坦な農地を持つと東部では、保存性の良い固いチーズから、クリーミーなウォッシュチーズまであります。


中央から南部になると様々なブルーチーズが生まれていき、さらに南の地中海気候の地域では、山羊や羊のミルクから、様々なチーズが作られています。


各地域の独自性と多様性に敬意を払い、フランスには「A.O.C」という優れた農産物を保護する制度があります。A.O.Cとは、原産地呼称統制、「Appellation d’Origine Controlee」の略称です。


その製品を生み出したテロワール(風土)、製法、品質、企画について、各地で厳しいチェックを行い、ふさわしいと判断したものに、A.O.Cの認可を与えています。


A.O,Cチーズは2015年現在45種類あります。それらの中には、ほとんど地元でしか手に入らないものもあれば、世界中に輸出されているものあります。実は、地元のフランス人でも、作るチーズが一番だと思っているからです。


イギリス海峡に面するノルマンディー地方から、大西洋と接するブルターニュ地方にかけて、なだらかな丘陵に牧草地が広がるフランス西部。年間の降水量が多く、昼夜の寒暖差も穏やかで緑豊かなこの地方は、海産物やリンゴを代表とする農作物が豊富です。


そして、青々とした牧草地で放牧された牛たちのミルクから、乳製品を作り出しています。特に、ノルマンディー地方のチーズは、ワインではなくシードル(リンゴ酒)と合わせて食べるのが現地の流儀。カルヴァンドス(リンゴの蒸留酒)で熟成させたチーズもあります。


しかし、近年では、酪農業でも大量生産が増え、かつては自家製チーズを作っていた農家も牛乳の生産のみを行うようになりつつあります。

Camembert de Normandie_カマンベール・ド・ノルマンディー

フランス産 白カビチーズ カマンベール・ド・ノルマンディ AOC 250g

世界中で作られているカマンベールチーズの元祖が、このカマンベール・ド・ノルマンディーです。フランスのノルマンディー地方で、伝統的な製造方法にのっとって作られたものだけが。この名を名乗ることができます。


製造には、無殺菌乳を使うなど厳しい基準が設けられています。A.O.Cのカマンベールには、ミルクはノルマンド種と呼ばれる地元原産の牛の無殺菌乳も使われています。また木箱に入れることが義務付けられています。無殺菌乳を使う目的は、ミルクの中にいるバクテリアを生かして風味豊かに仕上げるためです。


その起源は、1971年ごろ、カマンベール村の農婦マリー・アレルに、1人の修道士が故郷のリーズづくりの手法を教え、つくったチーズが始まりとされます。このチーズをナポレオン皇帝に献上したところ、とても気に入られたことから、フランス全土に広がっていきました。


多くの人が口にする、一般的なカマンベールに比べると、カマンベール・ド・ノルマンディーはコクがあり、塩味が強く個性的です。白カビに覆われた中身は柔らかく、つやのある黄色いカスタード状になっています。同じノルマンディー産のシードル(リンゴ酒)といっしょに味わうのもおすすめです。

Camembert_カマンベール

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世界中で大人気、様々なところで作られている白カビチーズの代表格です。1950年代、パリとフランス北西部を繋ぐ鉄道の開通により広く流通するようになったといいます。

1880年、現在A.O.Cのカマンベール・ド・ノルマンディーに義務付けられている木箱が考案され、輸送が容易になったことで、フランスから世界へと広まりました。日本では、1960年代から乳製品メーカーがつくり始めたとされます。

Coutances_クータンセ


ノルマンディー地方で生まれたクータンセの最大の特徴は、乳脂肪率の高さにあります。原料のミルクに生クリームを食わせた「ダブルクリーム」で乳脂肪分が高いチーズを作り出します。高級感のあるクリーミーな味わいに、塩味とかすかな酸味、ほんのりとした甘さが調和しています。

誕生してから30年も経っていません。新しい種類のチーズだが、クセがなく食べやすいため、チーズが苦手な人にもおすすめです。

Neufchatel_ヌーシャテル

ハートの形のチーズとして知られていますが、意外にもその歴史は古くからあります。ヌーシャテルと名付けられる前は「Frometon(フロメトン)」と呼ばれ、11世紀はじめに修道院が税として納めたという記録が残っています。


ヌーシャテルの形として、ハート形の他に円筒形、四角形、長方形など、6つの形がA.O.Cで認められています。

ハート形のヌーシャテルがつくられたのは、100年戦争のころ、当初、ヌーシャテル村の女性が敵国であるイギリスの兵士と恋に落ち、ハート形のチーズをプレゼントしたのが始まりだと言われています。


19世紀初め、美食家グリモがレストランの評論ガイドブック「食通年鑑」で紹介したことでパリでも評判となりもてはやされるようになりました。

ハート形のものは「クール・ド・ヌーシャテル」といい、そのかわいらしい見た目から、バレンタインデーなどのイベント時には大人気の商品となります。

Le Saint Aubin_サン・トーバン

クリーミーな味わいのサン・トーバンは、ロワール地方のアンジュで誕生したチーズです。ダブルクリームタイプで、軽くウォッシュされた表面をうっすらと白い酵母が覆っています。


クセがない万人受けする味で、四角い木箱のパッケージもオシャレなため、プレゼントしてもおすすめです。あわせて、ミディアムボディの赤ワインや辛口の白ワインを用意すると、よりおいしくなります。

Fromage Blanc_フロマージュ・ブラン

シンプルなフレッシュタイプのチーズです。つくり方は、温めた牛の脱脂粉乳が全乳に、乳殺菌を加えて発酵させたのち、酵素を入れて固めるだけです。


ヨーグルトほどではありませんが軽い酸味があり、さっぱりとした味わいがあるのが特徴です。脂肪分はものによるが、高くても、40%ほどになります。

子供のおやつとしにも適していて、フランスでは離乳食としても用いられます。



Pont l’Eveque_ポン=レヴェック

このチーズはリゾート地としてお有名なドーヴィルの近く、ポン=レヴェック村で作られているチーズになります。ノルマンディー地方で、もっとも歴史があると言われるウォッシュチーズです。


8世紀ごろ、ドーヴィル周辺でつくられていたチーズは総じて「アンジェロ」と呼ばれています。ポン=レヴェックもそのうちの一つです。12世紀のノルマンディーの詩にも、アンジェロを謡ったものがあります。


村でつくられるチーズの個性が認められ、ポン=レヴェックと称されるようになったのは17世紀末のことです。19世紀になると、鉄道が発展し、パリまで6時間ほど運べるようになりました。


これにより、ポン=レヴェックはパリの中央市場などでよく見かけるようになり、パリっ子にも親しまれるようになりました。

Livarot_リヴァロ

リヴァロは、上に紹介したポン=レヴェックと同じく「アンジェロ」と呼ばれた、ノルマンディー地方を代表とするウォッシュチーズの1つです。


側面にレーシュ(葦の1種)と呼ばれる紐が、5本巻き付けられているのが特徴です。これが陸軍大佐の軍服の袖口を思わせることから、「コロネル(陸軍大佐の意味)」という愛称があります。


レーシュは、本来形崩れを防ぐためのものだったが、現在も装飾的な意味合いが強く、紙製のものが多いです。

Cure Nantais_キュレ・ナンテ

キュレ・ナンテの歴史は、1794年まで遡ります。フランス革命(1789年~1799年)の混乱のさなか、ナントの町に移ってきた司祭(キュレ)がつくったのが始まりとされています。


現在、ナントはベイ・ド・ラ・ロワール圏に属していますが、18世紀末はブルターニュ地方とされているため、今でもキュレ・ナンテをブルターニュ地方のチーズだという人も多いです。同じくナント地方のミュスカデ(辛口の白ワイン)と合わせたいところです。

Gerard Fromage Roux_ジェラール・クリーミー・ウォッシュ

ジェラールブランドは、ボングラン社がつくるチーズで、日本に輸入され始めたのはここ数十年しかありません。しかし、ジェラール自体の歴史は古く、1800年代、フランソワ・ジェラールが酪農家たちのチーズを仕入れ、自宅の蔵で熟成させたことが始まります。


いつも一定の品質でおいしく熟成されたチーズが楽しめると評判を呼んだと言います。その後、フランソワの子孫であるユジェーヌが、本格的にチーズの製造を始め、世界で初めてチーズの製造と熟成とを一つの施設内で行い、フランスチーズ産業のパイオニアとなりました。


ジェラール・クリーミー・ウォッシュは、熟成の見極めが難しいウォッシュタイプをロングライフ製法で、いつでも食べごろの状態に保ったチーズです。まろやかな味わいで、黒コショウをふったり、ふかしたジャガイモと合わせることが最高です。

Saint Morgon_サン・モルゴン

サン・モルゴンは、ウォッシュタイプでありながら白カビが表皮を覆う、ミックスタイプのチーズです。白カビの働きによって理念酢金がおさえられ、ウォッシュタイプにしては香りや風味が全体的に穏やかです。


ウォッシュチーズを食べてみたいけど、風味が強すぎるものは苦手という人におすすめです。あまり身構えずに食べられるので、はじめてのウォッシュチーズとして選んでもいいんでしょう。

Madame Loik_マダム・ロイ

マダム・ロイは、フランスでは定番のディップタイプのチーズです。チャイプをはじめとした数種類のハーブとニンニク、鮭と混ぜられています。


クラッカーや野菜スティックにそのまま合わせるだけでなく、料理の風味づけに使われるなど、その用途は幅広くあります。パスタソースに使っても美味しいです。


可愛いギンガムチェックのパッケージは、家庭用だけでなく、プレゼント用としてもおすすめです。

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