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玉ねぎの不思議な魅力、辛味と甘味の変化と上手な活かし方

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photo by SkyFireXII

玉ねぎは古来から重宝されていた食材

玉ねぎも世界中で料理に使われている食材です。日本には江戸時代に伝わりましたが、現在でも和風、洋風、中華風の料理に欠かせない存在になっています。

玉ねぎを使うと、不思議なまで料理の味が良くなります。この不思議な魅力を持つ玉ねぎについて、取り上げたいと思います。

まず、玉ねぎの魅力を考える前に、玉ねぎがどのような歴史を持っているか考えてみよう。なぜなら、玉ねぎは古代から非常に優れた食材として使われており、そこには当然玉ねぎではないといけない理由があったはずです。

玉ねぎの原産地は中央アジアと推定されており、紀元前数千年頃、すでにペルシアで作物として栽培されていたことが確認されている。

イラン、インドの織物である更紗の美しい色は、実は玉ねぎの薄皮から取り出した色素を使って着けられていました。


また古代のローマ人は、玉ねぎ『大きな真珠』と呼んでいたが、その言語が英語のオニオンになったというエピソードがあり、古い時代から愛されてきた食品であることを裏付けています。

エジプトでは、玉ねぎは神聖な食べ物とされ、神への供え物とされていました。また、奴隷として扱っていた労働者の精力剤としての役目も果たしていたようで、旧約聖書にもそれらしい記載があるほどです。

玉ねぎの種類と味

玉ねぎは、味の上では、甘玉ねぎと辛玉ねぎとに大きく分けられます。色から分けると、黄色種、紅色種、白色種があります。


一般に各種の料理に使用されるのは、黄色種で、辛玉ねぎに属するものです。紅色種と白色種は甘味種です。


特に、紅色種は生食して甘味があるだけでなく、色が綺麗なので、サラダや料理の添え物としてよく使われます。紅色種の色素はアントシアン系のもので、酸で綺麗な紅色になるから、サラダにドレッシングなど、酸味のある料理に用いると華やかに見せてくれる利点があります。

さて、玉ねぎが非常に幅広く普及して使われている理由ですが、これは玉ねぎに含まれる独特の硫黄を含む化合物にあります。これが玉ねぎに特有の風味を与え、料理に良い味をつけるという効用をもたらしています。また、特有の甘味を持つ点も多用される理由でしょう。

また、玉ねぎを料理に使う場合にはテクスチャー(食感)が大きなポイントになります。みじん切りにするのか、薄切りにするのかで口当たりが変わり料理のアクセントとして大きな影響を与えます。


だから、玉ねぎを、調理するときは、切り方にも注意が必要です。切り方がその料理に合ってないと、せっかくの玉ねぎが料理の味に生かされないことになります。例えば、みじん切りにする場合には、どのくらいよ細さにするか、薄切りの場合もどれくらいの厚さにするのかということが大切になってきます。

玉ねぎに含まれる甘味成分

玉ねぎを加熱すると甘味が強よくでます。そして料理が自然の甘味を持ち、味が良くなるというのは、経験的に知られているところではないでしょうか?


玉ねぎの甘味成分については、辛味成分が加熱によって甘味になるという説が最近までの定説になっていました。そしてその甘味はブロピルメルカプタンという含硫化合物ではないかという説もありましたが、現在は否定されています。近年、分析機器な進歩し、微量の成分の分析が可能になったからで、過去の説が否定されている例も多くなってきているようです。

では、どのような成分が玉ねぎの甘味なのかというと、糖類、特にブドウ糖などが考えられます。

オニオングラタンスープを作るとき、玉ねぎを色が付くほどこんがりと炒めると褐色になります。こときできるのはカラメルです。カラメルは香ばしい風味を持ち、料理に美味しさをプラスしてくれます。このカラメルは糖類から作られたものです。

したがって、糖類が玉ねぎの甘味ほ主体であることは否定できません。さらに、熱を加えることで辛味が消え水分も減るので甘味が強調されるのかもしれません。

中華料理では玉ねぎを大きく切ることが多い

ここで料理別に玉ねぎの使い方を見てみましょう。まず、中華料理ですが、玉ねぎをかなり大きめに切る傾向があります。煮込む場合も炒める場合もだいたい同じです。これは、火の通りを完全にしないで、生に近い状態で、サクサクとした食感と、玉ねぎの辛味と独特の香りを生かすためでしょう。


こうした状態に仕上げるには、強火で短時間の調理が必要になってきますから、中華料理のように強火で一気に炒め上げる手法がぴったりだと言えるでしょう。


ただし、中華料理でも、エビや魚などのすり身に玉ねぎを加えるときは当然細かく切られます。そうでないとら口当たりが滑らかではないし、エビや魚をすりつぶした意味がなくなってしまうからです。



細かく切る洋風料理

洋風料理では玉ねぎを細かく切る傾向が強いですが、これは主材料に肉類を多く使うからでしょう。玉ねぎは肉類の匂いを消して風味をよくします。さらに甘味を加えて、味をよくするという効果を狙うには細かく切る方が良いからです。

甘味には、味や匂いを分からなくする効果があります。だから、玉ねぎを用いれば、消臭効果がより高まることになります。にくの匂いの不快感を甘味によってカバーすることができるという利点があるからと思われます。


甘味といっても、砂糖のような甘味は良くありません。砂糖であると、さも味を付けましたという不自然な感じに仕上がってしまうからです。しかし、玉ねぎのような自然のソフトな甘味は料理の中に上手く溶け込んでくれます。これが玉ねぎを使う理由の一つではないでしょうか?

ハンバーグステーキから、もし玉ねぎを抜いたらどのような味になるか想像してみてください。ミンチにされた牛肉の臭みが強調され、とても食べられるものではないかも知れません。玉ねぎの香りと甘味は、牛肉の臭みをかき消す効果があります。

カレーライスでも同様で、カレーライスが子供にも人気があるのは、やはり玉ねぎがカレーの辛い味を甘味で食べやすいよう、まろやかな風味を与えているのです。


洋風の料理の場合、先に述べたような玉ねぎを、細かく切ることが多いですが、どのくらい細かくきるのか、についても大切です。と、同時に、細かく切った玉ねぎをそのまま生で使うのか、それとも炒めてから使うのかという点もポイントになります。


ハンバーグステーキを例にとると、玉ねぎがどの程度の細かさであるか、そしてあらかじめ炒めて甘味を出したものを肉に合わせるのか、それとも生のまま肉と混ぜて焼き、後から甘味を出すかで、料理の味や口当たりが大きく異なってきます。玉ねぎの切り方という微妙な点で、料理の味がかなり変わってくるので、いろいろ工夫するところが必要になります。

和風の料理はスライスして使う

和風料理では、オニオンスライスにしたり、カツオのタタキに添えたり、味噌汁に入れたりと薄くスライスにすることが多い印象です。肉じゃがに使う場合、櫛形に、切ることも多いですが、ほとんどスライスされている状態と考えて差し支えないでしょう。

日本式のカレーでもシチューでもやはり玉ねぎの切り方はスライス型です。それは生の状態であっても、炒める場合であってもスライスされていることが主流のようですが、どうやら日本では形のある玉ねぎの形態で、料理によって甘味と辛味の両方を期待しているといった感じですね。


こうして、和、洋、中の料理を玉ねぎに焦点を当てて比較してみると、玉ねぎという食材は、国や地域で取り合わせる食材や、調理方法、さらには嗜好の影響を受けながら、それぞれの使い方がなされているようです。


ともかく、玉ねぎの場合、テクスチャーが料理に大きな影響を与え、その切り方に工夫を凝らすことで、料理の特色を支配し、魅力を増すことが可能な食材と言えるでしょう。