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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

鍋料理を美味しく楽しむためのタレ

http://www.flickr.com/photos/72396314@N00/323460409
photo by OiMax

鍋物料理を美味しく仕上げるコツはタレ味にある

鍋物は多くの人にとって魅力的な料理です。なぜなら、手軽に調理できるし、家族や親しい仲間同士、大勢でワイワイと会話をしながら楽しく食べることもできます。材料も味付けも、それぞれ好きなようにできるし、煮方も各人の好みで加減できます。


鍋料理は、大きく4種類に分けられます。調味料を何も加えない昆布出汁程度で煮る水炊き、寄せ鍋のように醤油を主とした調味料を加え出汁で煮るもの。土手鍋のように味噌とともに煮る鍋、すき焼きのように濃厚な味を付けた出汁(割り下)焼き煮するものです。ここでは水炊きと薄味の出汁で煮る鍋物を中心にタレと出汁の関係について考えたいと思います。


鍋料理のタレは、淡白な鍋料理を美味しく食べる上で欠かせないものです。鍋料理の特徴は出汁と調味料を使ってはいても、煮物などは比べものにならないくらいに薄味です。このため、煮た食材の味を明確に感じられるように特徴のあるタレで味にアクセントを付けて食べる必要があります。


もちろん、鍋料理では食材の質が大きくものを言いますが、どういうタレを合わせるかも、料理人の腕の見せ所になります。


タレは、鍋に使う食材でかなりの違いがあります。まず、肴と肉では、おのずと合うタレが変わってきます。また、同じ魚であっても、脂肪の多いものもあれば、あっさりとした白身の魚もあります。さらに、同じ白身でもカワハギのように臭いの強いものもあれば、アンコウやフグのように、癖がなく淡白なものもあります。


肉でも、牛肉、豚肉、鶏肉、鴨肉といった種類の違いが、当然タレに関係にしてくるはずです。食材が魚であれ、肉であれ、タレの味つけに共通する条件がいくつかあります。まず、タレには少し酸味を入れると良いということです。


酸味は、材料のしぼうなどのしつこさをさっぱりさせるだけでなく、材料の味を美味しく感じさせる効果があるからです。魚介類や肉類は、だいたいが微アルカリ性であり、そのまま食べたのでは、あまり味が良いとは感じられません。しかし、酸味のあるたれを付けて食べれば、pHを下げることができるので美味しくなるのです。

タレに合う酸味の材料と、その効果

酸味の材料といっても様々なものがあります。最も簡単ものは酢になりますが、これは誰が使ってもそれほど変化は出せません。そこで、考えられるのが柑橘類の利用です。柚子やダイダイ、スダチ、カボス、レモン、ライムがその代表格ですが、沖縄のシークワーサーなどのように各地特有の柑橘類もいろいろとあります。こうした柑橘類を利用することで個性的なタレを作ることも可能です。


タレに柑橘類を使う利点としては特有の芳香が挙げられます。柑橘類の香りは、リモネンという物質が主体で、このリモネンには食欲を増進する働きがあります。柑橘類をタレに加われれば、風味が増して、食欲増進にもつながるという訳です。

辛味のタレの必要条件

次に、タレの条件として必要なのが、辛味です。当然、香辛料が考えられますが、どのような辛味でも良いという訳ではありません。というのは、鍋物の食材によって、唐辛子が良いもの、生姜が合うもの、大根おろしの合うのもなどがあるからです。


中にはワサビが適当と思われるものや、ネギと唐辛子の二つを一緒に使用した方が良い場合など、組み合わせは多岐に渡ります。


こうした辛味の香辛料のほとんどが、鍋物の食材にする魚や肉の臭みを消す効果を持ちます。さらに味覚を刺激することで、風味を高め、食材を増進させる効果もあります。


一口にタレといっても、柑橘類と香辛料を色々と組み合わせることで、何種類ものタレを作りだすことができるし、柑橘類と辛味の香辛料の効果で食欲を増進させることができるわけではありません。

出汁の工夫も大切

次に出汁ですが、これも食材に合うものを選択したいところです。出汁の工夫により、一味使う鍋料理にすることも可能です。例えば、土手鍋では味噌を使いますが、味噌の配合や出汁の味など、工夫の選択肢は多くあります。また、ちゃんこ鍋の場合は、出汁の味を良くしておくと、食材の味が引き立つようです。


鍋物の塩基本となるのは昆布です。なぜ、カツオ節の出汁ではなく、昆布出汁なのかというと、これは鍋料理に使われる食材と深い関係にあります。鍋料理の旨味の主体は、肉や魚を中心とした食材から出る旨味成分です。肉や魚の旨味成分はほとんどがイノシン酸なので、昆布出汁のグルタミン酸の旨味成分を取り合わせることで、旨味を増すためです。


昆布出汁はあらかじめとっておくのか、それとも鍋に昆布を入れて手供するのはどういう味に仕上げたいかで、その昆布を鍋に入れるタイミングも選択します。


昆布の場合、旨味成分が溶け出てくるのは。沸騰するまでの間で有り、この時間が短いと十分に旨味成分が出ません。逆に長い時間が煮ると、昆布特有の海藻集や、ヌルヌルした成分のアルギン酸が出汁に溶け出て、味が悪くなってしまうので注意が必要です。


昆布の旨味成分だけを上手に取り出すためには、沸騰の少し前(80℃くらい)に水1Lに対して20~40gの昆布を入れ、弱めの中火にします。約3分経ってから火を強め、すぐに昆布を引き上げるようにすると良いでしょう。また、昆布は大きいまま用いても、細かく刻んでも出汁の味にはほとんど変化はしません。


出汁の調味には、醤油やみりん、酒などを加えますが、これらの品質で出汁の味は大きく変化するから、こうした調味料にも気を配ることがと良い味に仕上げることができます。特に醤油は、開封してすぐのものを使うことが良い。古いものは風味が低下しており、出汁の味まで台無しにしてしまいます。濃い色を付けたくない場合は、淡口醤油を使うと良いですが、その場合、塩味が強いのでみりんは欠かせなくなります。




鍋料理に便利な電磁調理器

鍋物の魅力の一つに、調理の手軽さがありますが、さらに簡単にする器具として、電磁調理器が挙げられます。電磁調理器は、すでに一般家庭にもかなり普及しているようですが、これは磁力を利用して加熱する器具です。


調理機の上板はセラミックのプレートで、その下にコイルを巻いた鉄芯が入っています。このコイルに高周波電流を流すと、磁力線が生じて鉄芯が強力な電磁石になります。その上に鉄、または鉄を含んだ鍋底を乗せるのですが、磁力線が鍋底を通過するときに過電流ができます。


この過電流に対して鍋底に強い電気抵抗が生まれます。その結果、鍋底が瞬時に発熱するのです。この鍋底の熱で加熱するのですが、鉄鍋を使えば中の食材を直接加熱することができます鍋底はそれに接しているものが陶器であっても差支えありません。また、鍋はホウロウ製でも良いですし、ステンレス製でも良いです。最近では、金属同士の張り合わせ技術が進み、ステンレス、銅、アルミニウムなどの板を張り合わせた多層金属鍋もできています。


ただし、鍋底は必ず平らでなくてはなりません。電磁波は距離があると極端に弱まってしまうので、鍋底が電磁調理器具の上面に密着している必要があります。もし、底が密着していない丸底の鍋だと加熱が十分にできないということになります。また、加熱を繰り返すことで、鍋底が反っているのも適しません。電磁調理器にあったいろいろな鍋が開発されているので利用すると良いでしょう。


また、電磁調理器は加熱の面で、特有の有利性があります。それは、電流の量の加減により、加熱の加減を瞬時に変えられる点です。鍋に材料を入れたときは電流を強くし、煮あがってきたら電流を下げれば沸騰は収まります。こうした調整が簡単にできるので、ガスのように火加減に気を取られることもないし、吹きこぼれそうになっても素早く対応ができます。万一、吹きこぼれたとしても、ガスレンジのように火が消えてガス漏れになることもなく、安全性に優れていると言えます。


さらにもう一つの利点は、電磁調理器自体は発熱しないので、触れても火傷することがないことです。電磁調理機を上手に使えば、鍋料理に美味しさだけでなく、安全性も加わるのです。