Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

茹でる、煮る、蒸す、水を上手に使った料理法

http://www.flickr.com/photos/10559879@N00/5106361140
photo by avlxyz

液体の水と気体の水

茹でる、煮る、蒸す、という3種類の調理法は、水を熱の媒体として使用する調理法です。

いずれも水の性質を十分に知って利用することが大切です。そこで、まず、知っておきたいのは、水は熱に対してどのような性質を持っているかです。


一口に水といっても、液体の状態のときと、気体の状態のときとでは性質が異なります。水か液体のときで、しかも気圧が普通の状態においては、水はほぼ100度のときに沸騰します。

そして、沸騰のときと共に、水は水蒸気として気体に変わります。このときに多量の気化熱を必要とするので、沸騰の状態な続いても温度が上昇し続けることはあり得ません。

ほほ100度以上には温度が上昇しません。これは普通の気圧のときの話であって、気圧が変われば沸騰の温度も変化します。気圧が下がれば、沸騰温度は下がるし、気圧が上がれば、沸騰の温度は上がります。


現在では、気圧を操作することによって、食品をより良い状態に加工することも多くあります。

例を挙げると、ジュースの濃縮やコーヒーの凍結乾燥のように、材料よ水分を取り除いたときの乾燥法として気圧の低い状態が良されています。

こうした加工は低温で行う方が食品に変化の起こることが少ないからです。現在のところ、一般的な調理においては、通常の気圧で行うことがほとんどだし、圧力鍋に限って気圧の高い状態で水を利用していると考えて差し支えありません。

茹でる、煮る、蒸すの違い

茹でる、煮るという調理は共に、食品材料が水の中に浸っている状態です。そのために、材料の成分のうち水に溶けやすいものは、かなり水に移行してしまいます。

この場合、味にとってふひつようなアクなどが、水に溶けて食品材料から抜けてくれることは味を良くする上でプラスだが、旨味のある物質や栄養成分までが水に溶け出してしまうとマイナスになり、味は低下し、栄養価値も落ちることになってしまいます。


その点、蒸す調理法は、食品材料が水に浸らないし、水蒸気という気体に接触するだけだから、食品成分の溶けて出る量は少ないです。

蒸した料理に旨味成分があると言われるのは、旨味成分を持つ各種の成分の溶出が少ないからです。


しかし、蒸す調理も水分がかなり多い状態であることに変わりないので、焼くなどの調理法とは異なり、香ばしい風味はほとんどありません。


そこで、柚子とか桜の葉、杉坂のように、良い香りを持つ材料と同時に蒸して、その香りを料理に移行させるという手段が多くの場合取られるのです。

煮る調理の特徴

ここで煮る調理と蒸す調理とを比較してみると、煮ると蒸すとでは、加熱しているときの材料の状態にかなりの差があります。これは、液体の水で加熱するか、気体の水で加熱するかの違いです。

煮る場合には、材料は水の液に浸っているので、煮立っている振動が強く材料にあたります。つまり、材料は常に強い力で揺さぶられているわけです。したがって、身が崩れやすいものを煮る場合には、注意が必要になります。

また、少量の調味液で煮る場合には、調味料が十分に材料に降りかかることが望ましい。

そこで、登場するのが、落し蓋です。落し蓋をすると、材料が煮えるときの振動が抑えられます。また、料理によっては、調味料をあまり量を加えないほうがよい場合がありますが、こういったときも、おとしがあると都合が良いです。

その理由は沸騰した煮汁が、落とした蓋に当たって、材料全体に降り注ぐからです。材料が調味料に浸っていなくても、十分な量の熱い煮汁が材料の上から降り注ぐことになり、その結果、材料は煮汁の中で平均的に加熱されます。もし落し蓋を使わない場合は、煮汁からはみ出している材料の部分は味かよく付かないし、火が十分に通らないことも起こります。

煮る場合には、100度、あるきはそれ以上の温度での加熱となります。水に食塩などの調味料が加わるの、沸騰点が上昇するからです。だから、にものの煮汁の温度は、110度近くまで上昇していることがあります。

蒸す調理の特性

これに対して、気体の水、すなわち水蒸気を使って加熱する場合は、100度以下で加熱することが可能です。材料に供給する水蒸気の量と温度を加減することで、求める温度が得られます。

蒸す調理では、前にも述べたように気体が利用されています。水が蒸発するときには、多量の気化熱を必要とします。つまり、水蒸気が水に戻るときには、蒸発に必要とした気化熱を持っているのです。逆に、水蒸気が水に戻るときには、蒸発に必要とした熱を反対に放出します。


蒸す調理は、この放出された熱で調理しているのです。蒸気を十分にたて、調理しようとする食品材料にその蒸気を触れささて、そこで水蒸気が水に戻って放出する熱を加熱調理に利用するのです。例えば、茶碗蒸しなどのように、80度以上にしたくない場合、蓋をずらしていくらか水蒸気を逃がして、水蒸気の量を手加減し、求める温度をコントロールすることができます。

蒸し物は食品の表面に水分が付きやすいのが特徴です。饅頭のような、皮がべたついたら困るものでは、ある程度強力に水蒸気を立てて、水蒸気から放出される熱の量を多くし、水に戻った水蒸気の余分ものを蒸発させてしまう必要があります。

煮るときの浸透圧の作用と注意

煮る調理のときには、必ずと言っていいほど食塩や砂糖などを含む調味料が使用されます。これらは、強い浸透圧の作用を持っています。そのため、材料の水分は、煮汁の方へ強く引き出されます。身を締める目的の場合は都合が良いですが、煮締まると硬くなったり、持ち味の旨味成分が抜けてしまったりするものでは、その対策かま必要です。


例えば、煮魚のようなタンパク質を主体とするものでは、表面の組織を手早く固めて、中の旨味成分が、外へ出て行くのを防ぐ必要があります。


都合の良いことに、タンパク質は食塩が存在する状態で加熱すると普通よりも低温で早く固まる性質があります。


そこで、煮魚を作るときには、調味した煮汁が沸騰してから材料を入れるようにすると良いのです。沸騰しているところへ魚を入れると、魚の表面のタンパク質は瞬時に凝固し、膜を作ります。これが、材料の中の組織を守り、外から浸透圧の作用「受けにくくします。したがって、魚の旨味も簡単に外へは出て行きません。出来上がった煮魚は、旨味成分をしっかり持った口当たりの良いものに仕上がります。もし、温まっていない煮汁に魚を入れたとすると、魚の中の旨味成分を含んだ水がどんどん外へ出て、煮魚の味が低下するだけでなく、水分が魚肉から失われるので、パサついた、口当たりの悪いものとなってしまうから注意が必要です。


豆を煮る場合にも注意が必要で、もし、茹でた豆にいきなり濃い調味料を加えたとすると、ふっくらと給水した豆が硬くなってしまいます。大豆の場合は、薄い調味液に浸してらそれを吸収させてから煮ると、豆の水分が保たれ、旨味成分が逃げていくことが少なくなります。また、豆が硬く煮立ってしまうのも防止できます。



茹でる場合は蓋をしない

茹でる場合は、通常、蓋はしないで加熱します。その理由は、不快な臭いや、食品から溶け出た成分で不要なものが、水蒸気と共に蒸発していくのを促すためです。

水蒸気が勢いよく蒸発すると、普通は蒸発しにくい物質も水蒸気と一緒に蒸発する性質があります。


例えば、野菜では"酸"などがそれにあたります。野菜は酸類をかなりの量含んでいる場合があります。緑の野菜は、酸が共存する状態で加熱すると、黄色がかった緑に変色しやすい。この場合には、蓋を取って強く加熱し、水蒸気を勢いよく蒸発させれば、野菜から出てきた酸は、水蒸気と共に蒸発するので、野菜の酸による変色が防がれますり

さらに、野菜を茹でる多くの場合には、水が沸騰する前に食塩を加えておくと、緑色が変色しないで済みます。野菜の緑色は、葉緑素と呼ばれる緑の色素であるが、これは、食塩と共に加熱されると安定化するためと考えられます。