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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

牛乳の基本知識とおいしさを活かすポイント

食材の話 飲み物の話 飲み物の話-牛乳の話 食材の話-乳製品の話

http://www.flickr.com/photos/17557997@N02/3174969053
photo by Calsidyrose

牛の種類と飼育の条件で牛乳の味が違う

牛乳と一口に言っても、製品ごとにかなり大きな差が見られます。なぜ、差が出るのかというと、牛の飼育条件から容器に詰められるまでの経路、さらには容器の種類と実に様々な要素が絡み合っていて、それが最終的な牛乳の風味の違いになって表れてくるからです。


そのため、牛乳ならどれも同じだろうと思って料理に使用すると、仕上がりの風味にも影響してくるので注意が必要です。


日本では乳牛の種類としてはホルスタインが主流です。これに、最近では、ジャージー種がかなり加わってきました。

ホルスタイン種というのは、白の地に黒の斑点のある、皆さんが牛乳と聞いてまず思い浮かべる乳牛になります。一方、ジャージーは全体に薄い褐色なので、この違いは一見にして見分けることもできます。

ホルスタインは、もともと北欧の乳牛であるから、北海道など、気温の低い地域の方が飼育に適しています。北海道の牛乳が美味しいと言われるのも、ホルスタインが適地で飼育されているからに他なりません。

加えて、北海道では乳牛の多くが広大な牧草地で飼育されているから、草を主に食べ、運動もかなりしています。だから、質の良い乳牛ができるわけです。

乳牛は牧草で飼育した場合と配合飼料で飼育した場合とでは、香りに影響がありますが、これは当然のことです。というのも、香り成分は、脂肪の中に溶ける形で存在しており、それが体内でも香りのセ氏分はあまり変化せずに、牛乳の脂肪の中に含まれているからです。


関連したことでありますが、バターや生クリームは、牛乳の脂肪成分が主体であるから、香りの成分もほとんど入ってきています。脱脂入が風味に乏しいのは、脂肪を含まないためで、牛乳の持つ香り成分がほとんど含まれていないからです。したがって、調理に使用する乳製品は、品物の選択にかなりの慎重さが必要とされるのです。


乳製品に関しては、下の記事でも取り上げているので、ここは牛乳そのものについて考えてみたい。

lovelabokitchen.hatenablog.com
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先のホルスタインは、低温には強いが高温には弱い特徴があります。したがって、本州の中部以南の地域で飼育されているホルスタイン種の牛から搾った牛乳は夏季には、乳質が落ちやすく、例えば、脂肪分が少なくなったり、乳量が減少することもあり、味のコクが薄いという感じがします

牛乳は処理過程までの経路も大切

搾りたての乳の処理は、地域差が大きいですが、これは過去の例をみるとよくわかります。


現在では、乳質の良いものが得られる北海道でさえ、北海道から本州へ輸送する難しさから、大部分が乳脂肪と脱脂粉乳に分離して保存されていました。それを、下記の牛乳不測のときに戻して、生の牛乳に加えて、補充用に使っていたのです。


現在はそのまますぐに処理され、紙箱詰めや、LL(ロングライフ)牛乳としてかなり広範囲に出荷されるようになっており、風味の良い北海道の牛乳がどこでも入手できるようになりました。

一方、大都市の牛乳処理場でパックされる牛乳は、ものによっては、かなりの長時間かけて、生乳のまま輸送されてきます。


搾った牛乳は5度に冷やして、保冷庫や保存タンクで輸送されてきますが、搾ったままの牛乳には、ある程度の細菌がいるし、牛乳中に存在する各種の酵素が働いて、殺菌までの間に、風味がかなり変化することはどうしても避けられません。

この点では、北海道でも同じことで、搾った場所と牛乳処理工場の距離が離れていて、殺菌までに時間を要したときは、やはり風味の低下を避けることは難しいのです。北海道の牛乳といえども、殺菌までの時間は、やはり他の地域と条件は同じになります。


反面、牛乳が集約的に生産され、しかも短時間のうちに殺菌処理できる工場がある場合には、風味の良い牛乳を作ることができます。

要するに、牛乳を搾ってから殺菌処理されるまでの時間と、近辺から集約的に牛乳を入手できるかどうかということが、風味の良い牛乳を生産することで大切なことになるのです。

牛乳の種類の見分け方

牛乳の製品を見分けるには、“表示”を見るのが最も良い手段です。表示には、牛乳の種類、そして生産地あるいは、殺菌処理した工場の所在地が記載されています。


最近は、各地の牛乳が入荷している状況が、この記載でよく分かります。さらに、「公正」の文字が記載されていることを確認します。これは、構成規約に基づいて牛乳の種類が表示手あることを示すものです。

その表示の種類別の部分に「牛乳」とあれば、搾った牛乳をそのまま殺菌して詰めたものであるということを意味を示しています。成分無調整の文字があればさらに良いです。

もし、「加工乳」の表示があれば、搾ったままの牛乳に乳成分の何かを添加したり、乳脂肪を減量したりしたものであります。例えば、乳脂肪が4%以上もあり、濃厚な感じの表現がしてある場合は、よく見ないと、それがジャージー種のように濃厚な脂肪を含んだ乳を出す牛の牛乳なのか、乳脂肪を添加して濃厚にしている加工乳であるのか区別が分かりません。


「加工乳」の表示があれば、明らかに、分離して保存してあった乳脂肪を添加したものです。


普通の牛乳のように見えますが、「乳飲料」になっているものもあります。これは、鉄分とか、ビタミンなどを添加したもので、こういったものは料理の材料としては不向きです。なぜなら、添加されたものの余分な風味が料理に悪影響を与えるかもしれないからです。


産地近くの工場で処理された牛乳で、表示が「牛乳」となっているものを使用するのが、最も良い結果を料理にもたらすと考えて良いでしょう。




牛乳を料理に使うときの注意点のコツ

牛乳は、脂肪を含んだ材料であり、しかも、その脂肪が水に溶ける形の乳化をしています。これは、水を主体とする料理にとっては非常に好都合な条件です。なぜなら、脂肪に水が馴染みやすいということだからです。


バターは、牛乳とは逆に脂肪に水が入り込んで乳化している形のものなので何らかの工夫をしないとならず、水を含む料理にそのまま使ったのでは、脂肪が表面に浮いてしまいます。


ただし、牛乳には、タンパク質が含まれていて、これは、酸と合うと凝固してしまうので注意が必要です。


例えば、トマトを加えて煮込む料理の場合、牛乳を加えてしばらくすると、もろもろとした牛乳の凝固物が混ざり、見栄えも低下します。


こういった場合は、少量の煮汁を別にとり、それに牛乳を加えて、フードプロセッサーなどでよく攪拌すると良いでしょう。フードプロセッサーは強力な刃と回転で、牛乳の凝固物を微細な粒子にまで砕いてくれるから、煮込んだ料理にそれを加えても、凝固物が気にならないで済みますね。


なお、酸味のある料理に牛乳を加える場合には、牛乳の代わりとしてヨーグルトを使うのも一つの手段であります。


牛乳のタンパク質では、もう一つ気を付けなければことがあります。それはタンパク質は一般に、臭いを吸着しやすいということです。封を開いた牛乳の容器を、臭いのある食品材料の入っている冷蔵庫に入れておくと、その臭いが牛乳に付着してしまいます。そうした牛乳を料理に使ったのでは、風味の良い料理には仕上がらなくなるから注意が必要です。


また、カレー粉など、強力な臭いを持つ食品を炒めるそばで、ゼリー菓子などに使う牛乳を処理したりすると、カレーの臭いが牛乳が付着します。その結果、菓子の方がカレーの臭いを取り込んでしまい、風味が低下してしまうことになります。