Love Lab Kitchen

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柚子とシソの香りの楽しみ方

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photo by francois et fier de l'Être

柚子とシソの香りは洋風の料理にも合う

柚子・シソは和風の香りを代表する食材ですが、最近では洋風の料理にも多く使われています。

柚子は、和風料理では、ポン酢や柚子醤油などが一般にも良く使われ、市販品としても根強く定着しています。さらに、最近では、柚子コショウといった、柚子をスパイス的にした商品も販売されています。そうした和風の調味料を洋風料理にも活用することが増えてきているようです。


また、シソの方も、青ジソをバジルの代わりにスパゲティに使ったり、シソの香りのするシソドレッシングも出回っています。


これらのことから、柚子とシソの香りが、和風の料理に限らず、幅広い料理に利用されていることが分かります。

柚子にしろシソにしろ、長い間、親しみのある風味として、日本人の日常の食事に使われてきました。

柚子とシソは日本人が慣れ親しんでいる風味

例えば、柚子は、料理に使うだけでなく、冬至の“柚子風呂”のような使われ方もします。香りの良さ以外にも、体温まる成分が何含まれているからかもしれません。昔から柚子風呂に入ると無病息災と言われていますが、実際に気分が良くなることは事実です。単なる香り以上のもの、つまり、“気分の良さ”を感じるわけです。


これは料理にとっても大切なポイントで、気分が良くなると料理の味も美味しく感じるようになります。


シソの香りが日本人に好まれるのも、梅干しの風味として古くから馴染んでいるからでしょう。梅干しも昔から健康食品の一つに数えられていますが、日本人がシソの香りと感ずる背景には、そういった良いイメージが関わっているのかもしれません。その点からもシソの持つ風味が、料理に対して、プラスに働いているのでしょう。


また、食べ物の共通点として、慣れのあるものに対しては親しみが強いという点が挙げられます。となると、日本人が慣れ親しんできた食品を洋風や中国の封の料理にはどんどん取り入れれば良いと考えられます。しかし、単に親しみがあるだけでは洋風や中国風の料理には合いません。そこには、もう一つの別の条件が必要とされます。

油となじむ食材は洋風や中国風の料理にも合う

洋風や中国風の料理に馴染むには、油と相性が良いという条件が必要であります。その点では、柚子もシソも油に馴染んでくれる性質があるので申し分ありません。柚子とシソが油に馴染む理由は、柚子とシソの香り成分が油性の物質からです。


最近、日本の料理に油が多く入っていることは、日常の料理の傾向を見ても良くわかりますし、国の調査でも実際の脂肪摂取量が、かなり高い線にあることが判明しています。また、飲食店でも油を使った料理の頻度が高いことは、メニューをみても良くわかるところです。


しかし、ここで考えてみる必要があるのは、油の多く使われている料理が増加したのはごく近年であるということです。そして、忘れてはならないのは、食の習慣は非常に保守的である点です。


これはどういうことかというと、食生活に油が多くなってはいるが、そこに何かしら日本的な要素があることが望ましいわけです。だから、油の多い料理でも、そこに日本的な風味が加われば、日本人にとっては親しみある料理になるわけです。


ここに柚子やシソを使う意味が出てきます。しかも、柚子もシソも油になじむ性質があるという利点です。


柚子やシソを積極的に料理に使用することは、食べる側の嗜好に有利に合わせることに通じるわけです。

料理には、積極的に柚子・シソを使いたい

油料理は、しつこいという感じを持つ人が増えつつあります。もともと日本人は、油の少ない料理に馴染んできたのだから当然でしょう。

とはいっても、油の小さい料理は、材料価格がどうしても高くなります。つまり、油を使った料理だと少し質の低下した材料でもカバーできますが、油を使わないとなると、日本人は風味に対してともてデリケートなので、鮮度の良いものでないとごまかしがききにくいのです。


例えば、少しでも魚に生臭い感じがしたら、鮮度が落ちているという判断をするのが普通です。


冷凍保存した魚や、漁獲の方法が荒い魚の場合だと、日本的感覚ではどうしても鮮度が良いとは思えません。近海で鮮度の良い状態で釣り上げたものよりは、数段鮮度が劣るように感じるのです。そこで、油を使って鮮度の劣化をカバーすることになります。


フランスで、新鮮な魚料理を食べさせると言われている飲食店で魚料理を食べてみたことがあります。そこで感じたことは、けっこう生臭みのあることでした。しかし、彼らの感覚では、肉類の感覚と同じで、「腐敗していないものは、いかに臭いがあっても新鮮です」というように感ずる傾向があるようです。


こういう感覚は日本では通用しません。フランス料理では、濃厚な、油の多いソースを使うので、料理のある程度の生臭みはカバーできます。この点で日本では習慣的に通用しない部分です。

日本の食材の事情も、以前と大きく変わってきており、それが料理に油を多く使わせる理由になっています。油からは逃れられない状況が日本の料理を襲ってきているのです。


ところが、油にあまり強くない日本人は、油を使うにしてもできるだけさっぱりした状態で使って欲しいと思うので実状です。

こういったときに力を発揮するのが、“香り”です。油の多い洋風や中国風の料理に香りのスパイスが色々と使われるのも当然です。油を使うだけでは、風味の良い料理を供することはできないからです。


そうした場合に使うスパイスを、洋風や中国風のものでなく和風のものにすると、日本人はさっぱりと感じるわけです。


そこで、油にもよく合う柚子やシソを香りのスパイスとして使っていくのも、良い方法です。



マリネ、炒め物、フライにも柚子やシソが合う

具体的な料理としては、マリネなどに、柚子やシソの香りを付けると、さっぱりした仕上がりになります。


また、油炒めのように加熱する料理でも、下味やソース、仕上げのときなどに柚子やシソを利用することは良いことだと思われます。


フライの場合も、下味や仕上げに柚子やシソを使うと爽やかさが出て良いでしょう。


実際、和風料理でも、生臭みのある脂肪の多い魚を使うときには、柚子の香りを活かした「幽庵だれ」に浸したのちに焼く「幽庵焼き」という料理に仕上げます。この料理は、柚子の香りで魚の癖のある臭いを消して、良い香りを添加している例と言えましょう。


シソはスパゲティに合うのだから、チャーハンのようなものにでも使えますし、柚子を加えてみても面白いかもしれません。

柚子コショウを白身魚のムニエルなどに使ってみると、かなり良い風味の料理にできるし
和風、洋風ともに、麺料理に使用してみても、それはそれでいい風味になります。


柚子やシソの香り成分の中には、リモネンやペリラアルデヒドなどとが含まれています。どちらの香り成分も食欲を増し、材料の風味を良くして、料理の味の向上につながるという点では、共通しているものがあると言えるでしょう。


柚子とシソが和風の香りを持つ食材だからといって、洋風の料理や中国風の料理に使うことは敬遠しないで、もっともっと積極的に使ってみるとこが必要ではないでしょうか。