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Love Lab Kitchen

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを〜

酸味と甘みの素敵なバランス、リンゴをあなたの料理のアクセントにいかが?

食材の話 食材の話-果物の話

http://www.flickr.com/photos/117611265@N05/14784889249
photo by www.tOrange.biz

リンゴの甘味が料理によく合う

果物の中でリンゴは、料理に多用される食材の一つですね。

リンゴ料理に幅広く活用されるには、いくつかの理由があります。まず第1に甘味。
料理には、いくらかの甘味が必要ですが、砂糖を使った甘味ではほんのとした自然の甘味を作ることはできません。砂糖を使わずに自然な甘みを作るときにリンゴを使うのです。

リンゴの他、玉ねぎやニンジンなども甘味を付ける働きのある食材ですが、風味の点で幅広い料理に利用できるとなると、なんといってもリンゴが一番です。リンゴの持つ特有の甘味は、“果糖”によるものです。

果糖は、その名の通り、果物の中に多く含まれている糖でブドウ糖よりも甘味は強いが、その味は穏やかで親しみやすい味になります。

でんぷんを原料にして果糖をブドウ糖よりも多くした異性化糖が、清涼飲料や、加工食品の甘味に利用されていますが、これは親しみのある甘味が得られるからです

リンゴには、果糖だけでなく、ブドウ糖も含まれていますが、量的には果糖の方が多く含んでいます。その他、他の諸成分なども関わり合うから、甘味は非常に複雑なものですが、親しみを持てる味となります。

料理の味を左右するリンゴの酸味の役割

リンゴを料理に多用する一つの要因は、酸味にもあります。
リンゴには酸味の成分が何種類も含まれています。最も多いのはクエン酸で、この他にリンゴ酸など数種類があり、それぞれが酸味を出すとともに、お互いの酸味が作用し合って、深みのある、爽やかな酸味を生み出しているのです。


酸味は料理に加わると、料理の全体を美味しく感じさせる効果があります。酸味は料理に加わると、料理の味全体を美味しく感じさせる効果があります。これは、人間の味覚は、料理の酸度、すなわちpHが、弱い酸性のときに味が良いと感じるからです。


リンゴに含まれるクエン酸をはじめとする各種の酸が、料理のpHを適度の酸性にし、その結果、料理の味にプラスに働いているのです。

例えば、肉類のほとんどは、いくらかアルカリ性を呈します。そこで、そのまま使うよりは、それらの肉類の料理に、リンゴの酸味を加えれば、仕上がりはやや酸性になり、味のよい料理と判断されるわけです。


このように、リンゴの活用次第で、料理のpHを変化させ、味の向上に役立てることができるのです。

酸味を付ける場合のリンゴは、適度にカットしたものでも良いし、すりおろしたものでも効果は同じです。また、いったん煮てから裏漉ししたものを使ってもいいです。どのような形態であっても、リンゴの酸味を料理に利用することができます。

リンゴの香りを上手に料理に生かすには

リンゴには、特有の香りがあります。この香りも、料理の味を良くする要素の一つです。

料理は風味、つまり香りと味でその良し悪しが決まるので、料理にリンゴの風味を利用することは、非常に都合がいいのです。

では、リンゴの香りはどのような成分なのでしょうか。リンゴの香りにも各種のものが混ざっているが、共通しているのは“エステル”が主の化合物です。エステルは、アルコールと酸とが化学反応してできるもので、非常に良い香りを持っています。


アルコールにも、三にもいろいろな種類があり、組み合わせても多くできるから、エステルの種類もその種類が豊富にあります。このようなエステルがリンゴから料理に加われば、料理の風味自体も良くなるのは当然でしょう。


香りはそれがはっきりと嗅覚に感知されない場合であっても、実は味覚には影響を与えています。つまり、料理には、“隠し味”が必要であり、これをうまく利用できるかどうかで、料理の仕上がりに大きな差が出てきます。


リンゴの香りを隠し味として添加するときは、加えるタイミングも大切なので色々と試してみる必要があります。そのタイミングを上手に見出すことが、良い料理を作り出すことに通じます。


香りを生かすためには、予め加熱したリンゴをソースのような状態で添加するのか、すりおろしたリンゴを加熱する際に転化するのかは、料理の種類や調理法、材料によって選択しなければなりません。

また、リンゴの香りが生かされない材料もあるので、注意が必要です。肉類の料理を例にとると、豚肉には大変良くリンゴが合うが、羊肉になると、そのにおいにリンゴの方が負けてしまい、効果を発揮しない可能性が高いのです。


魚の場合、白身魚は良いが、味、サバ、サンマなどのように、脂肪分が多くしつこい感じのものは、リンゴの風味の方が負けてしまいます。


リンゴの香りの働きには、このような相性があるから、組み合わせる食材と加えるタイミングをよく見極めることが大切です。

料理に合わせたリンゴの使い方

リンゴはペクチンが多く含まれています。ペクチンというのは、リンゴを煮たときに、トロリとする成分です。

酸味の強いリンゴほどトロリとさせる力は強いですが、これはペクチンには酸があるとゼリー火力が強くなる性質があるからです。

ゼリー化力というのは、ゼリーを形成したときの弾力の強さをいい、一般に、弾力の強いものを“ゼリー強度が高い”といいます。


リンゴは自然の酸を含んでいるから、ゼリー化力はもともとかなり強い方ですが、酸味の強い紅玉などの品種の場合は、ゼリー火力はさらに強いと言えます。


リンゴジャムやアップルパイなどを、透明感のある腰の強いもの仕上げるには、ゼリー化力の強いリンゴ、つまり、紅玉のように酸味の強いリンゴを選び出すことも大事な作業の一つです。


ところが、ここで困るのは、日本の場合、酸味の強いリンゴが敬遠され、こううった品種が減ってきているという点です。


日本では、リンゴが主として生食用に向けられているため、酸味の強いリンゴはあまり好まれません。そのため、こういった品種の栽培面積が減っているのです。


生食を目的としたリンゴは、酸味が少ないだけでなく、ペクチンも少なく、ゼリー化力はかなり弱いので、お菓子作りにはあまり適さなない。


しかし、一般の料理にリンゴを使う場合には、とくに酸味だけにこだわる必要はありません。酸味と甘味とのバランスで、リンゴの性質を生かして料理に加えるような工夫をすることが必要です。



調理する時のリンゴの扱い方

リンゴを調理する際の扱い方はいろいろあります。皮は、菓子類を作るときには残しておくこともありますが、ほとんどの場合、剥いてしまう方がいいです。

リンゴをすりおろして使うときには、フードプロセッサーを利用するのが便利です。ミキサーおろすと、空気を多量に入れ込むので、リンゴが早く褐色に変化しやすいためです。

リンゴが褐色になるのは、リンゴに含まれているタンニン系の物質が、空気中の酸素によって酸化されてしまうからです。この酸化作用には、リンゴに含まれている酸化酵素が働きます。

もし、褐色にしたくない場合は、リンゴにレモン果汁や、ビタミンCの多くはいいた飲料を少量振りかけておくのが良いでしょう。カットして使うときも、レモン果汁を振りかけておけば変色しなくて済みます。


リンゴは、おろしたものを煮るだけでなく、バターで炒めたりしても、一味違う風味を楽しめます。

リンゴの甘味、香り、酸味を上手に活かすことで、一味も二味も違った料理を作ることが可能になります。リンゴを調味食材として利用することで、料理の風味がより良くなるよう工夫してみてはいかがでしょうか。