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コショウとレモンの素敵な相性、料理の品を良くする香り

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photo by lynn.gardner

香り成分とは何か

食べ物を美味しく食べるのに“香り”は大切な要素になります。


人間の嗅覚は味覚よりもデリケートで、香りの良し悪しが料理の決め手になっていることは実は多いのです。香りにつられて食欲が増すことはもちろんのこと、逆に香りが自分尾好みではない食品や料理の場合には、いかに味が良いと分かっていても食欲がそそられることはあまりありませんよね。


だから、調理の上で香りを上手に生かすことはとても重要です。とはいえ、天然の食品が持つ香りの成分の種類は無数にあると言われているし、一つ一つの食品にしても多種の香り成分から成り立っているわけだし、香りを上手に生かすことは、プロの料理人であってもなかなか難しいことかも知れません。


食品に含まれる香りの成分はほんのわずかであるため、科学的な分析が難しく、香りについては解明されていないことも多くありました。しかし、近年、分析化学が進み、微量であっても、かなりの精度をもって測定できるようになっています。香辛料などでは、香り成分以外の辛味や甘味といった各種の微量成分も少量のサンプルで測定できるようになっています。


その結果、意外な食品同士に同種の香り成分が含まれていることが分かりました。

コショウとレモンの魅力は共通の香り成分からなる

洋風の料理にも多数のスパイスやハーブ類が使われていますが、その中でも使用頻度が高いのが“コショウ”と“レモン”です。白身魚の下ごしらえとして、塩をふり、コショウをふり、レモン汁を絞ってしばらく寝かしておくといったことがよく行われ、風味づけには欠かせないものです。


コショウとレモンは全く異質の食品ではありますが、その成分の中には共通した物質が含まれていることが分かりました。これがコショウとレモンが併用される場合が多い理由になっていると考えられます。


その共通の物質とは、“リモネン”という香り成分です。柑橘類に多く含まれており、特にレモンにはその含有量が多いのです。


では、コショウの方がどうでしょう。コショウは辛味に特徴のある香辛料ですが、同時に香りの強い香辛料でもあります。コショウの香りには、気分をよくする風味があるとされ、その主要成分の一つがリモネンなのです。とくに、黒コショウに多く含まれています。


柑橘類に多い香り成分のリモネンが、コショウにも多量に含まれていることはなかなか信じがたいところではないでしょうか?しかし、前述したように化学分析が進歩した結果、コショウとレモンにはリモネンが共通して含まれていることがようやく判明したのです。

リモネンは食欲を増進させる効果がある

香り成分のうち、食欲増進の効果をもつものとして、次の3種類が挙げられます。「リモネン」「ブラウンフレーバー」そして「パニリン」です。

「ブラウンフレーバー」は、食品をこんがりときつね色に焼いた時に出る香りの総称です。ウナギの蒲焼やトウモロコシを焼いているときに出る香りもその一種で、それだけで食欲のそそる香りであることが分かるでしょう。


「パニリン」は、バニラエッセンスの香りを思い浮かべて頂ければよいでしょう。あの甘いなんとも言えない香りのことです。甘いお菓子類にバニラエッセンスを入れ忘れたら、気の抜けたような甘さになり、品のある甘さを演出することはできません。


「リモネン」は、食欲増進に高い効果がある他、食材の臭みを抜くのにも役に立ちます。コショウとレモンが魚などの生臭みを持つような食材の下処理として欠かせないのはそのためです。また、エビフライやムニエルなどを食べるときにレモンを絞りかけたり、コショウを振ったりするのは、特有の臭いを持つこれらの食品の風味をリモネンによってさらに良くし、食欲を増進させる効果が利用されています。

リモネンは酸化しやすい

料理の風味を良くしてくれるリモネンですが、問題な点が一つあります。それはリモネンが非常に酸化されやすいことです。酸化されやすい食品の代表に油がありますが、その油にも比べものにならないほどリモネンは速く酸化が進んでしまいます。


ただし、粒のコショウや丸ごとのレモンでは、組織が破壊されているわけではないので、リモネンは酸化されません。


しかし、挽いたあとのコショウや切り分けた後のレモンは、組織が破壊されたのだから、リモネンの酸化が急速に起こることになります。だから、レモンやコショウをどのように扱うかによって、料理の風味は大きく違ってきます。


酸化したリモネンを含むレモンやコショウを料理に使用すれば、当然、リモネンの効果は期待できません。それどころか、料理の風味に対してマイナスになる場合が生じてきます。これは酸化したリモネンには消毒薬のような薬臭があるためです。薬臭い香りが料理に加わるのですから、料理の風味が低下するのは当然といってよいでしょう。

コショウの効果的な使い方

コショウのリモネンを効果的に生かす方法は、必要な都度ガリガリと挽いて、挽きたてを用いることにつきます。


コショウは、粉に挽いたものが商品として多く出回っており、使い勝手もいいようですが、補完尾状態に気を配り、開封後は2週間で使い切る目安でないと、中のコショウは既に参加しきっている状態にあると考えてよいでしょう。そうしないとリモネンの効果を期待できません。


ヨーロッパへ行くと、飲食店はもちろん、家庭でもコショウを挽くミルが置いてあります。これはヨーロッパでは癖のある肉類を常に調理して食べているからで、料理を美味しくするため、長年のうつに培われてきたものでしょう。


ヨーロッパでコショウに対する欲求は高く、コショウを手に入れるために中世には、ポルトガルやスペインなど探検船をこぞって操り出し、東洋へ冒険旅行に出かけたほどです。コロンブスがアメリカ大陸を発見したのも、元はと言えば、コショウを探すことが目的だったはずです。コショウを巡って戦争まで起こしていたほどですから、コショウの魅力の大きさが分かるでしょう。


欧米の料理では、コショウの使い方が料理の出来栄え、特に風味の上で大きな役割を担っているといっても過言ではありません。

レモンの香りを保つ扱いと保存方法

レモンは料理の風味を良くする他、彩の良いところから、料理によく使用される食材なのは言うまでもないでしょう。薄切りにスライスしたり、櫛形に切り分けたり、材料や飲み物添えられていることが多いですが、扱い方や保存方法がよくないために、香り成分の効果を発揮させていないことがよくあります。


飲食店などでは、あらかじめ薄切りや櫛形に切り分けたレモンを使っている場合が多いようですが、これでは酸化した薬臭のあるレモンを使っていることになり、レモンの香り成分を有効に利用できていません。


では、レモンを使うたびに薄切りにすればよいかというと、やはりこの場合も切り口は酸化しているのでいい使い方とは言えません。


最も良い方法は、空気に触れて参加している切り口の部分を薄く切り捨ててから使うようにすることです。もったいないようですが、これだけでずいぶんと風味が違ってきます。いったん切り分けたレモンは、ラップでピッチリと覆って参加を進めないことと、早めに使い切ることが大切です。



リモネンは和風料理でも生かされている

リモネンを利用して料理の風味を良くしているのは洋風のものだけではありません。和風の料理でも意外と利用されています。


例えば、柚子やスダチ。柚子もレモンと同じ柑橘系でリモネンが豊富に含まれています。柚子はそのままで食べることは少ないかもしれませんが、お吸い物には柚子の皮を浮かべて風味を付けています。また、柚子の果皮を器に見立てて利用する柚釜、さらには幽庵焼き、他にも松茸やサンマの焼き物にはスダチを絞ったり、フグ料理やなべ物にはポン酢をつかったりなど、みな柑橘類のリモネンの香りの効果で、魅力ある料理に仕立てられています。

リモネンは上手く使いこなすことで、幅広い人たちに喜ばれる料理を作ることができるのは間違いありません。

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